大きいと高性能!双眼鏡のサイズと対物レンズ有効径
双眼鏡で「高性能と言えば高倍率」と思われがちですが、倍率よりももっと大切なのが対物レンズの有効径です。「高性能=大きな口径」と言っても過言ではありません。それは対物レンズの有効径が明るさや解像力に関係しているためです。100倍という高倍率でもぼやけていたり、真っ暗だったら高性能ではないですよね。
以下では、対物レンズとは何なのか?を知っていただいた上で、各サイズによって適した目的・使い方を詳しく解説しています。
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そもそも双眼鏡の対物レンズ有効径とは?
双眼鏡の対物レンズとは目を付ける方と逆についてるレンズのことで、有効径は双眼鏡スペックの〇×△AA°で表された中の△の部分です。8×42 7.0°という双眼鏡であれば42ミリが対物レンズの有効径になります。
倍率が同じであれば、対物レンズの有効径が大きい方がより明るく高解像で見えるようになります。「そういうものだ」と覚えていただいても良いですが、ひとみ径と明るさの計算によって同倍率であれば対物レンズの有効径が大きい方がより明るいということを証明できます。
ひとみ径は対物レンズの有効径÷倍率で、ひとみ径の二乗が明るさの数値です。8倍という倍率で3種類の対物レンズの有効径があるとします。
例「8×20の双眼鏡」「8×30の双眼鏡」「8×40の双眼鏡」
- 「8×20の双眼鏡」の明るさ=(20÷8)の二乗=6.25
- 「8×30の双眼鏡」の明るさ=(30÷8)の二乗=14.0625
- 「8×40の双眼鏡」の明るさ=(40÷8)の二乗=25
となるので、同倍率であれば対物レンズの有効径が大きいほど明るくなると言えます。
対物レンズ有効径と双眼鏡サイズ
明るさだけで考えた場合には対物レンズの有効径は大きい方が良いですが、そうなると双眼鏡本体がどうしても大きくなってしまいます。これは目的によって使い分けるべきです。
例えば、コンサートなどで使い場合は持って歩くこともありませんので大型で重量のある双眼鏡でも大丈夫ですが、アウトドアや旅行に使う双眼鏡は持ち運びやすさを優先してコンパクトなものを選ぶのが良いでしょう。
対物レンズ有効径の種類と特徴
一般的に双眼鏡の対物レンズ有効径の種類は、
- 25mm以下:コンパクトな双眼鏡
- 30mm~49mm:本格的な双眼鏡
- 50mm以上:天体観察、業務用など
と言われております。以下では対物レンズの有効径ごとに特徴とおすすめの目的について詳しく解説していきます。
各対物レンズの有効径ごとに明るさも算出していきますが、明るい環境で肉眼と同じに見える明るさの数値は4~9、暗い環境で肉眼と同じに見える明るさの数値は25~49というのを基準にしています。
※〇〇mm台というのは最大で9mm違うのでこの計算はあくま指定した数値での参考です。
対物レンズ有効径10mm台の双眼鏡
プリズムが入った双眼鏡では最も小さなクラスです。対物レンズの有効径10mm台というのはかなり低倍率の物を選ばなければ暗く見づらいです。
- 2×10の双眼鏡の明るさは25
- 4×10の双眼鏡の明るさは6.25
- 6×10の双眼鏡の明るさは2.7777...
- 8×10の双眼鏡の明るさは1.5625
対物レンズの有効径が10mmであれば倍率4倍が明るい環境で明るく見える数値になります。使用目的としては双眼鏡のサイズ自体はコンパクトなので、見え方にはあまりこだわらず旅行や散歩の際にポケットに忍ばせておく程度が良いです。
対物レンズ有効径20mm台の双眼鏡
対物レンズの有効径20mm台の双眼鏡は店頭でも良く見かけるサイズで、防振や防水なども登場します。ただし20mm台でも高倍率を選ぶ際は少々注意が必要です。
- 6×20の双眼鏡の明るさは11.1111...
- 8×20の双眼鏡の明るさは6.25
- 10×20の双眼鏡の明るさは4.0
- 12×20の双眼鏡の明るさは2.7777...
対物レンズの有効径が20mmであれば8倍が明るい環境で明るく見える数値になります。使用目的としては少々サイズアップしていますが、ハンドバックに入る大きさなのでコンサートや観劇にも良い(その場合は明るさを考慮する)ですし、昼間のバードウォッチングなどにおすすめです。
対物レンズ有効径30mm台の双眼鏡
対物レンズ有効径30mm台は中型双眼鏡と言えるサイズになり、高い倍率などにも対応できるようになってきます。
- 6×30の双眼鏡の明るさは25
- 8×30の双眼鏡の明るさは14.0625
- 10×30の双眼鏡の明るさは9
- 12×30の双眼鏡の明るさは6.25
日中の明るい場所での使用は、明るさの面で何の問題もありません。低倍率であれば暗い場所でも肉眼と同じ明るさで見ることもできるようになってきます。ハンドバックには入らない大きさになってくるので、本格的なバードウォッチングやキャンプなどにおすすめです。
対物レンズ有効径40mm台の双眼鏡
対物レンズ有効径40mmでは安定した明るさ、解像力を発揮します。サイズ的にはコンサートや観劇に持って行くのはためらわれます。
- 6×40の双眼鏡の明るさは44.444...
- 8×40の双眼鏡の明るさは25
- 10×40の双眼鏡の明るさは16
- 12×40の双眼鏡の明るさは11.111...
この辺りから天体観測にも使えるようになってきます。さらに本格的なバードウォッチングはもちろん、天体愛好家の間でも天体望遠鏡のサブとして持ち歩いていることがあります。
対物レンズ有効径50mm台の双眼鏡
手持ちで使う双眼鏡では最大級の双眼鏡で、天体双眼鏡として使われます。
- 8×50の双眼鏡の明るさは39.0625
- 10×50の双眼鏡の明るさは25
- 12×50の双眼鏡の明るさは17.361...
- 14×50の双眼鏡の明るさは12.754...
ここまでの対物レンズ有効径になると双眼鏡自体も大きく重いですが、明るさ解像力ともに格段に上がります。本格的な天体観測にも活躍してくれます。
対物レンズ有効径70mm台の双眼鏡
対物レンズ有効径70mmを超えてくると手持ちで使うのは難しい重さになるので、三脚が必要になりますが、明るさ、解像力、倍率、どれも最高です。本格的な天体観測を高倍率で楽しみたい場合にぜひ手に入れたい双眼鏡です。