意外と重要!キーの名称と種類や特徴を徹底解説
皆様は小学生の時、あるいは中学生の時にリコーダーを吹いたことがあるのではないでしょうか?指の押さえ方1つで音が変わることはご存知だと思いますが、その指運びは、慣れないうちはなかなかできなくて苦労した思い出もあると思います。
フルートはリコーダー以上に指運びや押さえ方が難しい楽器でもあります。単純にドレミの押さえ方を覚えればいいのではなく、キーというものも覚えなければ上達できません。そこでこちらではフルートのキーの名称と種類や特徴を徹底解説していきます。
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フルートのキーの種類と名称の目次
フルートのキーの名称
全部を覚えるのは大変ですが、フルートのキーが故障したときに覚えておくと便利になります。なぜなら、どこが故障したのかをキーの名称を使って伝えると、修理屋さんにスムーズに伝わるからです。
他にも教本やレッスンをしていると頻繁に出てくるキーの名称もあるので、ぜひ目を通しておきましょう。
- Cキー
- B♭キー
- Aキー
- Gキー
- G♯レバー
- G♯キー(Eメカ用)
- Eメカウデ
- F♯キー
- アイスレバー(A♯)
- Fキー
- Dトリルレバー
- Eキー
- F♯連絡板
- D♯トリルレバー
- Dキー
- D♯トリルキー
- Dトリルキー
- プリチアルディキー
- Bキー
- G♯キー
- D♯レバー
- D♯キー
- ローラーケン
- C♯キー
- LowCキー
フルートのキーの種類
そもそもこのキーとは何なのか?というところです。既にご存知の方、お分かりの方もいらっしゃると思いますが、キーはフルートにおける音階を作るボタンになります。
フルートは細かい音の動きが多い楽器です。動きが細かい分、できるだけ自分の手が動きやすければ動きやすいほど優位です。しかし、手の大きさや指の長さは人によって個人差があり、その動かしやすさも異なります。そのためキーが1種類しかないと、フルートをどうしても演奏しにくい人や曲が出てきてしまうのです。その問題を解決するため、フルートを作る上で、どんな人でも演奏しやすいようにキーの種類が作られました。
フルートは頭部菅・胴部管・足部菅の3つに分かれますが、その中の胴部管から足部管にかけてキーが配置してあります。その中の胴部管についているキーの状態で種類を分けることができるのです。大きくは2つに分かれます。
キーの種類によって初心者に向き不向きがあります。それぞれの分類方法と、その分類の特徴などを見ていきましょう。
キーの並びの種類
まずインラインキーとオフセットキーは胴部管上側面に配置されているキーがどのように並んでいるか、で分けることが出来るのです。
この違いはインライン(in-line)キーが「全てのキーが一列に真っ直ぐ並んでいる」配列なのに対してオフセット(offset)キーが「Gのキーだけがせり出している」配列となっている点です。それではそれぞれの特徴などを詳しく見ていきましょう。
インラインキーの特徴
特徴としては先述したようにキーの配列が一直線に並んでいることから、見た目としても統一感があり、美しく見えるのがこのインラインキーです。後述しますが、このインラインキーの多くはリングキーとなっているため、正確に穴を塞ぐことで音が出るため、音色としては素直で美しいものとなりますが、正しいポジションでフルートを構えなければいけません。
その際、弊害となるのが、この一直線の美しい並びです。正しいポジションとなると、横に長いフルートを体の中心部から右へ構えることになるので、左手、特に薬指と小指に負担がかかってしまうのです。手の大きさ、指の長さは個人差があるため、手が小さい方や指が短めの方には演奏しにくい、というデメリットが発生するのがこちらの特徴になります。
このような傾向から手が大きめの方や、幼少よりピアノなどを習っていて指が長い方にはおすすめのフルートです。また上達すればきれいな音が奏でやすいのもこちらなので、フルート本来の音で演奏したいという方もこちらになるでしょう。
オフセットキーの特徴
それに対してオフセットキーはGのキーがせり出しているため指を置いたときに無理なく自然な姿勢で演奏ができるというメリットが発生します。つまり手が小さい、指が短いといった悩みがある方には多大な恩恵があるという事ですね。
また構造上の話ですが、G#キーとAキーのシャフトが独立していることもあり、キーが滑らかに動いてくれるのもメリットと言えるでしょう。
ただデメリットもあります。オフセットキーはこれらの特徴的な構造を作り出すために、フルートの中心部周辺にキーポストを多めに立てなければいけません。具体的にはインラインキーよりも2本多く立てなければいけないのですが、これが音のレスポンスに影響します。
レスポンス自体が悪くなってしまうため、音色としても全体的に暗くなる傾向があると言われているので、演奏はしやすくても奏でられる音には影響が出ることは念頭に置いておく必要があります。
余談ですが、インラインキーはリングキーとの組み合わせが主となりますが、オフセットキーはカバードキーとの組み合わせが多いことも知っておいてください。
キーカップの種類
キーカップとは分かりやすく言えば、ボタンの押す部分になるわけですが、ここに穴が開いているか開いていないかという違いになります。穴が開いているものがリングキー、開いていないものがカバードキーになります。
ちなみにかつてドイツではカバードキー、フランスではリングキーを使用していたことから、カバードキーは「ジャーマンスタイル」、リングキーは「フレンチスタイル」とも呼ばれていました。しかし、現在ではドイツでもリングキーを使用する方が増えているため、この呼ばれ方はしていません。
こちらも余談になりましたが、それぞれの特徴などを具体的に見ていきましょう。
カバードキー(ジャーマンスタイル)の特徴
カバードキーはキー部分に穴が開いていないものになります。フルートはリコーダー同様空気の変化によって音が奏でられる楽器になります。そのため穴の塞ぎ方次第で微妙な音程の変化を生み出すことが出来るのですが、初心者の方にはいきなりの難題になってきます。
思い出していただくといいのですが、リコーダーでも半音階を作り出すのに穴を半分塞ぐといったちょっとしたテクニックで音程の変化を作り出していました。フルートはそれをさらに微妙な塞ぎ方の違いで生み出しているのです。これは現代奏法によって作り出されたものですが、運指にも慣れていない方にとっては非常に難しいテクニックです。
そのため、初心者の方が練習するならこちらのカバードキーがおすすめになるのです。先述通りオフセットとの組み合わせが多いので、手の負担も少なく、細かい操作も気にしなくて良いというメリットがあります。
その代り、単調な音になりがちなので、ある程度上手くなってきて練習曲もレベルアップしてくると、こちらでは対応できなくなってくるというデメリットもあるので注意してください。
リングキー(フレンチスタイル)の特徴
カバードキーに対してリングキーはキーに穴が開いているのが特徴にあります。と言っても全てのキーに穴が開いているわけではなく、左手の中指・薬指、右手の人差し指・中指・薬指を置く合計5つのキーに穴が開いているのです。
カバードキーでもご紹介しましたが、初心者では穴をしっかり塞ぐのさえ慣れるまでは難しい行為になりますが、慣れてこればその塞ぎ方にも意識を向けられるようになります。この塞ぎ方の微妙な違いで音程に違いを持たせることが可能となるのがこちらになります。
またリングキーはカバードキーに比べて音の抜けが良いとも言われています。そのためきれいで複雑な音を奏でるのであれば、こちらがおすすめとなるのです。先述したようにこちらは院ラインキーとの組み合わせが多いため、中級から上級向けのフルートに多いとされています。
トーンホールの種類
トーンホールとは音の高低(トーン)を左右する穴(ホール)という事になります。この仕様は音孔周りのことを指していますが、大きく分けると2つに分けられます。
それが本体管の穴部分に部品をハンダ付けすることで追加した「ソルダードトーンホール」と、穴部分を持ち上げることで本体から出っ張り部分を作った「ドローントーンホール」のになります。それぞれの特徴を見てきましょう。
ソルダードトーンホール
ソルダードトーンホールはそもそも誕生の経緯として、現在のフルートの形がある程度完成した19世紀初頭において、金属加工の技術がまだ確立されておらず、トーンホールを作ることができなかったため、後付けで出っ張りを取り付けたことに由来します。
ハダンを使用して取り付けていますが、当時はロウ付けすることもあり、特に金で出来たフルートではハンダではなくロウを使うことがよくあります。この素材によっても音色は微妙に変わるとされています。
その吹きやすさは、しっかりとした吹きやすさがあり、音質としては深みのある音を奏でられるものとなっています。また重圧感のあるのもこちらですが、音量としてはこちらの方が小さくなってしまうというデメリットもあります。そのため相当量の息量が必要とされているため、パワーが必要となってきます。
このソルダードトーンホールは後付け加工ということもあり、金属の歪みや金属疲労を起こさないというメリットがあります。またトーンホールの厚みも自在に調整ができることから、抵抗感を増やして音の重厚感を増やすことも可能となっています。
つまり音質としてはより重厚感を生みやすいですが、その分だけ音量を出すためのパワーを必要とするようになるという事です。ただこれだけの調整となると、これを製造する職人の技術も必要とされるため、全体的に価格が高めのフルートになることも念頭に置いておく必要があります。
他にもフルート全体の重量の増加や、ハンダ部分の劣化によってそこから息が漏れてしまう可能性もあるというデメリットがあることは知っておいてください。
ドローントーンホール
ドローントーンホールは本体からそのまま出っ張り部分を引き上げて作られています。そのため製造そのものは技術さえあれば、作り出すことができ、全体の重量も増えることがないので、奏者によっては負担が少なくなるのがこちらになります。またコストが削減できるのもこちらであることは明白でしょう。
しかし、これはデメリットにもなりがちで、本体の金属を無理矢理引き上げて作られているので、管体への負担や金属疲労のしやすさ、金属硬度の変化など本体の劣化に繋がる問題が露見されます。そのため長期的な使用では耐久性に難があるのがこちらになります。
ただ金属疲労についてはヘビーユーザーでない限りは、気になるほどの変化はないと思います。そのためあくまでデメリットの1つと理解しておくといいでしょう。
また音質にも影響します。ドローントーンホールでは軽やかで明るい響きを持つ柔らかな音を奏でやすく、音量としてもそれ程パワーを必要としなくても大きな音が出るというメリットがあります。しかしその分だけ重厚感のある音は出しにくいとされているので、より上級の曲を演奏するのには不向きとなってくるでしょう。
初心者が演奏のしやすさを重視するのであればこちらですが、レベルが上がってきて重厚感を求めるようになれば、乗り換えることも考えるべきでしょう。
フルートのキーのオプション
フルートにはオプション機能も存在します。簡単に言ってしまえば、音を出しやすくするための機能を指すものだと理解しておいていただければいいです。
オプションなので、メーカーによっては着脱を選択することも可能となっており、無くても演奏できますが、慣れない方は使うと演奏しやすくなる機能だと思っていただいてもいいでしょう。それぞれのオプションを簡単にですがご紹介していきます。
Eメカニズム
フルートに限らずですが、多くの楽器で音程が高く、音が当たりづらいのが第3オクターブのE音(ミ)になります。この音を出しやすくしてくれる機能をEメカニズムと言います。
フルートの練習をしていく上で、ここが壁の1つとなります。熟練の奏者でも音出しに失敗することがあるほどです。これは運指において、Aキーだけを開放することでE音が出るのですが、構造上G#も一緒に開いてしまうため起こるのです。
EメカニズムはこのG#キーを開かないようにしてくれる補助が役割となるのです。これによりE音は出しやすくなりますが、Eメカニズムが付くことで若干重量が増えるので、暗く重厚感のある音に変化すると言われています。またこれが付いていることで後述するG-Aトリルが上手くいかない運指があるため注意が必要です。
ほとんどのメーカーが取り扱っていますが、一部取り扱いの無いところもあるので、注意してください。ただ気にするほどではなく、有名メーカーであれば大抵は取り扱っているので、選択に支障はありません。
G / Aトリルキー
トリルキーの説明の前にトリルについて説明しておきましょう。トリルとはある音を基準として、それより2度高い音を代わる代わる早く奏で、まるで震えるような音を作り出す装飾音になります。
顫音とも呼ばれるこの音は音階によっては演奏が難しい部分もあります。それが3オクターブのG-Aのトリルになります。そのG-Aトリルを綺麗に行うための機構がこのG/Aトリルキーになるのです。
後述しますがCisトリルキーというものもあり、こちらの方が使用用途も広いため、今ではCisトリルキーにその立場を取って代わられつつあり、あえてこちらを付けるという方はいらっしゃいませんが、かつてのドイツではよく使われていたオプションキーになります。
Cisトリルキー
まずCisについてですが、これは英米式表記における「C(ド)」をドイツ式表記で表したものになります。その名称から、H-Cisのトリル使われると思われている方が多く、実際にそれにも使われるのですが、それ以外にも幅広い用途に使用されます。
例えば先述したG-Aトリルに使用でき、高音域のAsの響きや、ピアニッシモ運指でも活躍するトリルキーとなっています。他にも可能性を秘めたオプションとしてアメリカでは非常に人気となっています。
ただデメリットとして、このオプションを付けるためには一部のトーンホールを修正しなければならず、メーカーによってはそこまで対応をしてくれないため、単純にトーンホールを増やしてキーを取り付けるという対処をするところもあります。もしオプションで取り付けるのであれば、しっかりとした対応をしてくれるところを探す必要があるわけです。
G♯オープン
一般的に左手の小指で押すキーは、押すことで開き、離すことで閉まる「クローズドキー」となっています。しかしこれを逆の原理、つまり押すと閉まるというように機能するのがこのG#オープンになります。
これを導入することで、3オクターブのE音が音響学的に正しい運指で奏でることが可能となったシステムであり、このオプションの開発はこの合理性もあって生まれています。
ただし、クローズドキーが一般的となっているため、これを逆の操作にするとなると慣れるまでには相当な練習量が必要になってくるため、メリットよりもデメリットの方が大きくなってしまうためオプションと付ける方は少なく、需要の問題から取り扱うメーカーも少ないのが現状です。
Gドーナツ
Eメカニズムは、キーシステムをオプションとして取り付けることでその機能を生み出していますが、こちらのGドーナツはキーシステムを取り付けることなく、Gトーンホールをわずかに塞いで3オクターブのEを出しやすくするシステムとして生み出さてました。
Eメカニズムは本体に取り付けてしまうのに対して、こちらは後付けが可能であり、着脱もできることから扱いやすく、費用も安いためコストパフォーマンスが良いとされています。
それならばEメカニズムではなく、こちらを使えばいいのではないかと思われるかもしれませんが、やはり音色と発音はEメカニズム程の改善は見られません。また中低音のAが詰まり気味に奏でられるのもデメリットになります。キーの押さえ方の工夫で改善はできますが、慣れを必要とします。
Disローラーキー
Disローラーキーとは1オクターブのDis(D)とCis(C)の音の移り変わりをしやすくするためのキーになります。このローラーキーが付くことによって指のスライドはかなり楽になり、後付けでも取り付けしやすい部品であることから、取り扱いをしているメーカーもそれなりにあります。