初心者必見!フルートの上手な吹き方と上達する練習方法
管楽器の中でも運指が最も容易と言われているフルートですが、上手に吹くためにはいくつかのポイントがあり、それがスムーズにできるようになるには相当の練習が必要になってきます。
これは運指だけでなく、息を吹き入れる口の部分の練習も同様です。この部分が上手くできなければ、どれだけ運指が出来ても綺麗な音を奏でることができません。そのためまずは運指よりもこちらの上達が急務であるとも言えます。
そこでこちらではフルートの上手な吹き方と上達する練習方法をご紹介していきます。
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フルートの吹き方の目次
頭部管のみで練習してみよう!
フルートの練習をする、となると組み立てた状態から始めるものだと思われがちですが、実は頭部管のみで行うというのが一般的です。これには以下の2つの理由があります。
- 体力的に無駄になる。
- 口の形(アンブシュア)だけに集中して練習すべき。
練習するときはこの2つを理解した上で、始めると効率的かつ効果的に練習ができますし、上達にも繋がっていくのです。
体力的に無駄になるから
いきなり組み立てて練習すると力が入り過ぎてしまい、かえって体力を消耗してしまうのです。
フルートを持つことに慣れていないことにより、腕が痛くなるというのが挙がります。またそれにより、音を出す大前提となる息の吹き入れに意識を持っていけなくなってしまうのです。
フルートは、慣れない間は酸欠になってしまうこともあるほど他の楽器よりも息を使います。組み立てた状態で演奏するとチューバと同じくらいの肺活量を必要とするほどなのです。
初めての方がいきなり音を出そうとすれば酸欠になる可能性が高まり、音が鳴らないためにフルートを保持する腕にも負担がかかり、さらに効率が悪くなってしまうのです。
効率重視というわけではないですが出来るだけ上達を早めるためにも、まず基礎を身につけ、頭部管のみで練習し、息を吹き入れて音を出すことに慣れてから組み立てた状態で練習するのが効率的な方法となります。
アンブシュア(口の形)だけに集中して練習すべきだから
フルートの音を出すには口の形が重要となってきます。この口の形をアンブシュアと言います。音の良し悪しもこれでほぼ決まると言っても過言でないだけに最も重要という事が分かっていただけると思います。
アンブシュアのトレーニングは欠かせないものとなり、練習には頭部管のみで行う必要があるのです。組み立てた状態で行うと運指や技法に集中してしまい、アンブシュアが疎かになってしまいます。
まずはこのアンブシュアを確かなものにする為にも、胴部管や足部管を外し「音を出す」ことのみに集中した頭部管の練習が初心者にとって必須となるのです。
この練習方法は初心者だけでなく経験者でも行う練習です。裏を返せば、例え経験者であってもアンブシュアは常に意識し練習し続けなければならないことが分かると思います。
フルートで音を出すコツ
音を出すためには上記のように頭部管を使って練習をするわけですがいくつかコツがあります。
1つ1つステップを踏みながら行うことで、そのコツを身につけることができます。
- STEP1:自分の手の平を使って音を出すイメージをつくる
- STEP2:リッププレートに下唇を当てる
- STEP3:アンブシュアをつくる
- STEP4:息を吸って吹いてみる
- STEP5:できるだけ長く吹き続けよう
- STEP6:高い音も出してみよう
STEP1:自分の手の平を使って音を出すイメージをつくる
まず頭部管を使って音を出す前に、自分の手の平を使ってイメージを固めていきましょう。
方法は至って簡単です。自分の左または右手のどちらかの手の平に口を当て、息を吹きかけます。この時、いい加減に息を吹きかけるのではなく一点に絞って吹くようにしてください。
息を分散させてしまうと音がでない為、絞るという意識を身につけることが大切であり吹く前のイメージが作りやすくなります。
STEP2:リッププレートに下唇を当てる
リッププレートは息を吹き入れる部分に付けられたリップ(唇)を当てる為のプレートです。元々は木製のフルートの厚みや太さを部分的に残すために作られたもので、吹きにくくならないように考案されたものになります。
リッププレートと唇の接触の仕方ですが、ミュンヘン国立音大教授のアンドラーシュ・アドリアンによると、「下唇の下のところと肌の境目の部分にリッププレートにあるマウスホール(穴)の手前のエッジ部分に当てる」としています。多少表現は変えていますが、概ねこの通りです。
この位置に当てることが正しい方法となります。とは言っても吹きやすい位置は人それぞれですので、上手く音が出ないときは多少位置を変えてみるといいでしょう。
しかし、どんな位置にリッププレートを置いたとしても絶対に唇には力を入れないようにしてください。
STEP3:アンブシュアをつくる
唇をリッププレートに当てたら、アンブシュアを作ります。ただこの作り方は人それぞれ違います。その為、ここでは最もベーシックな方法をご紹介していきます。
アンブシュアとは口の形、あるいは唇の形のことを指します。
このアンブシュアの説明の中でアパチュアというものが出てきますが、これは唇の穴のことを指します。混同しやすい言葉ですが、違うものになるので注意してください。
口の中の状態
アンブシュアを作る上で口の中の状態を整えるのは重要です。よく言われるのは「ひらがなの”ま”の発音をするときの口のイメージ」や「あくびをする時の口のイメージ」の2種類があります。
これは要するに「喉を開ける」という事を分かりやすいく例えたものですが、吸った息を楽器に伝えるために必要なことになります。
普通、フルートの限らず楽器を演奏するときや合唱で発声をする時は腹式呼吸で、お腹から息を吸います。しかし吸った息を喉を絞めて抑えてしまうと口まで届かず、せっかく吸った空気が無駄になり効率が悪くなります。
その為、喉を開けることでお腹から吸った息を上手く楽器に伝えることができ、吸った空気をそのまま音に変えることが可能となるのです。
唇の状態
唇の状態は口角や息の通り道となるアパチュアを指します。
口角関しては上げる派と下げる派の2手に分かれます。これは高音を出すか低音を出すかで変わりますが、初心者の方は口角を上げることをおすすめします。
口角を上げることで下唇が自然と平らになります。上唇は出来るだけ柔軟な状態にし、下唇より少し前に出します。こうすることで出した息が下方向に行くようになり、マウスホールに正しく息を入れることができるのです。
STEP4:息を吸って吹いてみる
アンブシュアを作ったまま、息を吸って頭部管に吹きかけてください。上手くできていれば、リッププレートの反対側に三角形の曇りが出来上がります。
よく息を吸うときブレスの音が気になるという事がありますが、これは意識して吸うために起こります。つまり正しく腹式呼吸が出来ていないという事になるのです。
例えば水泳の時、正しく呼吸を習うと水中に顔を付けている時は口の端から息を吐き出し、顔を上げたタイミングで息を吸うのですが、これを教わっていないと水の中では息を吐かず我慢してしまいます。その状態で顔を上げて息を吸おうとしても、あまり吸えずどんどん息苦しくなってしまうのです。
息を吐き出していないために肺の中に空気が残っているため新しい空気を取り込むスペースがないのです。これは水泳だけでなく様々な呼吸に言えることです。フルートでも適正な息の量を吸い、そして吐き出せていないと次の息を上手く吸えないのです。こと演奏になれば、呼吸のコントロールができないことで楽譜に合っていないブレスをすることになってしまうのです。
試しに息を限界まで吐き出してみましょう。それこそ苦しくなった先、もう出すもの空気がなくなるまで吐き出します。そしたらすぐに口を大きく開けてみましょう。意識しなくても空気が流れ込んでくるはずです。
演奏ではさらに強弱が付いてくるので、楽譜をしっかりと読み込み、予め作戦を立てて息を吸う量、吐く量を調整する必要がありますが、それはここでは別の話としておきましょう。
とにかく、腹式呼吸を正しく行うためにも息はしっかりと吐き出してから吸うようにしましょう。
STEP5:できるだけ長く吹き続けよう
少しでも音が出るようになったら、先ほどよりも息を多めに吸って出来るだけ長く音を出し続けられるようにしていきましょう。
前よりも少しでも長くなるように繰り返していきます。頭部管のみであれば音は出やすいですが、組み立てた状態となると息の量はさらに必要となります。
それを見越した上で音が出せるようにする為にも、頭部管の状態で最低でも4秒以上音を保てるようにしてください。
STEP6:高い音も出してみよう
頭部管に息を吹き入れるだけでも2種類の音を出すことができます。多くの場合、初めて音を出すと低い音が出ますが、これはスピードがゆっくりであるからです。
高い音を出す場合は息を吹き入れるスピードを速くしてみましょう。この2つの音が出るようになったら、組み立てて音を出す練習をしても良いタイミングになります。
フルートで大きな音を出すコツ
頭部管による音出しの練習でコツをだいぶ身につけてきたと自負しても、いざ組み立てて音を出そうと思ったら「頭部管のみの時のように音がでない」ということや「音が小さくて聞こえ辛いかも」と不安になることがあります。
既に経験されている方もいらっしゃるかもしれませんが、今回はそんな人のためにも大きな音を出すコツをご紹介してきます。そのコツに入る前に、「音を大きくする」というイメージではなく「響かせる」というイメージを持ってください。大きくするというイメージは綺麗な音を出すための妨げになります。
短時間で音は変わりません。どれだけ早い方でも、より良い芯のある音を出すためには半年はかかると言われています。その為、一朝一夕で大きな音が出せる、音を響かせられると思っている方は意識を変えた方が良いかもしれません。
何時間でも練習した人が必ずしも成功するとは限りません。しかし意識して練習した回数は必ず身になります。劇的に音が変わらなくても、諦めずに練習してください。
その練習を効果的に行う為に以下のコツを行ってみるといいでしょう。
吹き方を変える
音がなかなか響かないのは吹き方に問題があることが多いです。その原因としては以下のものが挙がります。
- 組み立て方が正しくない
- 構え方が間違っている
- アンブシュアが正しくない
根本的な組み立て方、特に頭部管の位置が良くないことがよくあります。また正しい構え方をしていないことで音が響かないことがあります。そしてアンブシュアは言わずもがなですが、息の吹き入れ方が正しくなければ音は響きません。これらを確認してみることで変わることがあるので、まずはこれらを見ていくことが大切です。
組み立て方が正しくない
実は最も大きな原因に挙がるのがこれです。頭部管を必要以上に内側に向ける人が多く、これによって響きを失っていることがあります。
フルートは基本的にキーの中心線に合わせて頭部管の唄口の中央の位置をセットするようになっています。こうすることで正しく息を吹き入れられるので、音を響かせられるようになるのです。
ただ内吹きという吹き方があり、これに合わせて頭部管を変えているという方もいます。
一概に全て悪いとは言えませんが、初心者の方ならまずは正しい位置で吹かなければ響かせる音は難しい為、キーの中心線に合わせて頭部管を組み立てましょう。
構え方が間違っている
「足を肩幅に開いていない」「フルートを水平に構えている」など、余分なところに力が入ってしまう構え方をしていると息が浅くなり、正しく息を吹き入れられないので音が響かなくなります。
リラックスした状態でフルートを持ち、足を肩幅に開いて体全体でフルートを支えるように意識しましょう。
アンブシュアが正しくない
アンブシュアをする際、口の中の開き方が正しくないという可能性もあります。アンブシュアは口角やアパチュアが重要視されていますが、口の中の開き方も意外と重要です。
口の中を広くすることで息の流れがよくなり、音が響くようになったという経験を語る方もいらっしゃいます。
あるいは上下の歯を開けることで響きが良くなったとの声もあります。こちらは上下の歯が閉じていると息の通りを悪くしてしまうという理由が付いてくる為です。とにかくアンブシュアを見直し変えてみることで響きが良くなることがあるので、こつとしては重要です。
音を響かせる練習をする
コツもそうですが、音を響かせる練習も必要です。日々の練習をしていくことで音を響かせられるようになるのですが、どの方法をここからご紹介していきます。
ロングトーン
ロングトーンはフルートの中でも基礎的な練習であり、管楽器であればどれでも行う練習になります。
発声の世界でもロングトーンというものはあり、音程を安定させて長く響かせるための練習になります。ロングトーンが上手くなればきれいな音が奏でられますし、何よりもきれいな音が奏でられるという事は音を響かせられているという事になるのです。
具体的な練習方法としてはメトロノームのテンポを60にしてセットし、20拍を目標にして低音のシ♭の音を吹き伸ばすというものがあります。
これを低音のシ♭から中音のシ♭まで続けていきます。20拍が出来たら21拍、それが出来たらさらに長くというように伸ばしていきます。
この際、目標の拍数に届かず息がなくなって続かなくなっても、目標拍数まではフルートから口を離さず息を吐き続けてください。例え音が鳴らなくても良いです。
こうすることでロングトーンの練習と同時に、息を吸う練習とアンブシュアを鍛える練習ができます。
ハーモニクス
ハーモニクスというのは倍音練習のことを指します。
倍音練習は様々な種類があるのですが、音を響かせるには最低音のドの指でで7種類の音を出す練習がいいでしょう。
音を吹き分けるには唇のしなやかさ、息のコントロール技術、空気圧の調整が必須です。つまりハーモニクスの練習は正しい息の吹き入れ方や量の練習になり、結果として音を響かせる練習となるのです。
身近な道具を使う
どうしても音が響かないという方には次のような身近な道具を使ってみるのもおすすめです。それぞれの道具を使うことで音が響くようになることもあるので、練習をしても響かないという方は是非ともお試しいただくといいです。
消しゴム
大きめの消しゴムがあるならば、右手親指と本体の間に挟むという方法があります。こうすることで音の響きがかなり良くなるのですが、これは音が波であり振動であることに原因があります。
指が本体に触れていることで振動が多少なりとも吸収、あるいは阻害されています。音の響きは空気と本体の振動がカギになります。そのため指が少しでも本体から離れていれば、それだけ振動しやすいという事になるのです。
イス
イスの上にでも置くのか?と思われる方もいるかもしれませんが、そうではありません。イスの上に乗って吹いてみてください。
自宅などだと練習する場所によっては、家具などが音を吸収してしまっていることがあります。その場合、高いところで吹くことでそのような障害物の影響を受けにくくなるので、音が響くようになるのです。ただイスの上に立つため、落ちないように注意して行ってください。
マスキングテープ
マスキングテープをリッププレートにあるマウスホールの横に2本貼ります。貼り方は本体と垂直になる様に貼って下さい。こうすることで息の通り道を道標のように導いてくれます。つまり息を吹き入れる補助になるというわけです。
ただこれも常に貼りっぱなしにしたり、毎回貼って練習したりすると本体を汚す、または傷める可能性があります。そのため息がまとまらないときなど、たまに行う程度にしましょう。