絶対に聴いておきたい!フルートのおすすめ名曲まとめ
オーケストラだけでなくソロコンサートでもその音色で人々を魅了するのがフルートですが、その魅力は楽器だけでは完成しません。熟練の奏者が居て、その奏でる旋律を描いた楽譜があってこそ、素晴らしい演奏が完成するのです。
フルートの演奏を形作る上でなくてはならない名曲は、この世界にいくつもあります。それは、一度は聞いてほしい傑作から、世界でも演奏できる人は限られる難曲まで様々です。その中には是非皆様にも聴いてほしい曲もあります。そこでこちらでは絶対に聴いておきたいフルートのおすすめ名曲をご紹介していきます。
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フルートの名曲まとめの目次
絶対に聴いておきたい!フルートの名曲厳選5曲
フルートは世界的にも奏者の人口は多く、また数多くの名曲がありますが、その中でもフルートに携わっているのであれば絶対に知っておきたい名曲を厳選して5曲ご紹介していきます。
ハンガリー田園幻想曲 / ドップラー
こちらはフランツ・ドップラーがフルートと管弦楽のために書き上げた珠玉の名曲です。ドップラーが作曲した中では最も有名な曲であり、聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。
ドップラーは優れたフルート奏者でもあり、ブタベスト歌劇場のフルート奏者を務めていた時期に作曲されたのではないかと推測されている曲でもあります。世界的にも多くの奏者が演奏していますが、日本では上野星矢や横山聡子が演奏をしています。
ちなみに誰もが聞いたことがあるであろう「ドップラー効果」を発見した方とは違う人なので注意してください。ドップラー効果を発見した物理学者クリスチャン・ドップラーもフランツ・ドップラー同様にオーストリア出身で生きていた時代も非常に近いですが、関係のない人物になります。
シランクス / アシル=クロード・ドビュッシー
かの有名なドビュッシーが作曲した曲であり、フルート奏者にとって不可欠の曲名と看做されている名曲中の名曲です。無伴奏フルート作品として作られ、フランスで19世紀末から20世紀前半にかけて活躍した名フルート奏者であるルイ・フルーリーに献呈された一曲になります。
題名のシランクスはギリシャ神話に登場するニンフにしてアルテミスの従者であるシュランクスをフランス語読みしたものとなっています。作曲された当初こそ「パンの笛」という名が付けられていましたが、ドビュッシーが作曲した連作歌曲「ビリティスの歌」の中にも同じ名の曲があることから、こちらのシランクスと改名されました。
また余談ですが、ドビュッシー自身も23歳で自身の名を「アシル=クロード」から「クロード=アシル」に改名しています。そのため本名はアシル=クロード・ドビュッシーになります。
組曲「アルルの女」よりメヌエット / ビゼー
「アルルの女」の中でもこのメヌエットは誰もが耳にしたことがあるであろう名曲です。同組曲自体はドーデの短編小説と戯曲として上演するにあたり、ビゼーによって付随音楽として27曲が作曲され、ここから編まれた2つの組曲になります。
その中でも第2組曲の第3曲にこのメヌエットが収録されています。ただこちらは同じくビゼー作曲の歌劇「美しいパースの娘(あるいはぺルトの娘)」より転用された曲として知られています。編曲されたことにより、元の曲とは一部が異なっていますが、フルートの独奏曲でありハープと共に奏でられる美しい旋律が特徴の有名な曲となっています。
フルート・ソナタ / プーランク
名前の通りフルートのためのソナタとして作曲されたものであり、同名のものはいくつかありますが、その中でも20世紀で最高傑作とされるのが、プーランクが作った一曲となります。彼の代表作としても知られていますが、ドビュッシーが晩年書き続けたソナタ群を意識して作られています。
オペラ「カルメル派修道女の対話」に忙殺されていた頃、室内楽音楽フェスティバルのための作品委嘱が舞い込み、長期間構想を温めていたこのフルート・ソナタを委託作品としました。ストラスブール音楽祭では自身のピアノ演奏とフルート奏者であるランパルの演奏によって初演され、第2楽章「カンティレーナ」はアンコールが出るほど好評だったとされています。
フルートとハープのための協奏曲 ハ長調 K.299 / モーツァルト
稀代の天才とされたモーツアルトが作曲したフルートとハーブの協奏曲になります。知っている方にとっては説明すら要らない名曲です。
モーツアルトが作曲などの家庭教師をしていたフランス貴族の娘の結婚式に演奏するため、その父から作曲を依頼された曲です。その条件にはオーケストラを背負い父と娘がそれぞれの楽器のソリストとなって演奏するというものでした。
モーツアルトが作り上げる曲の魅力だけでなく、典雅な美しさも証明した曲としても有名であり、この曲の中でも第2楽章のアンダンティーノは単独でも演奏されるほど世界的に非常に有名な曲となっています。
初心者でもできるおすすめの名曲厳選3曲
フルートの名曲も良いですが、初心者の方はその演奏に圧倒されてしまい、自信を失ってしまうこともしばしばです。こんなすごい曲が弾けるようになるのか、こんな美しい音を奏でられるようになるのか、不安もあるでしょう。
確かにいきなり世界的な名曲は難しいです。しかし名曲の中には有名でありながらも初心者でも演奏できるような曲もあるのです。ここからはそのような曲の中でもおすすめの3曲をご紹介していきましょう。
ダニー・ボーイ / フレデリック・ウェザリー
ダニー・ボーイは元々アイルランド民謡として知られる「ロンドンデリーの歌」の旋律に、イングランドの弁護士であるフレデリック・ウェザリーが歌詞を付けたものです。日本でも80年代にコーヒーのCM曲に起用されていたのでご存知の方も多いのではないでしょうか?
ピアノによる演奏が主ですが、民謡独特の演奏の手軽さからフルートの練習曲としても知られる曲です。つまり初心者でも演奏しやすい曲となっているので、是非とも聞いていただきたい曲です。
ショパンの別れの曲 / ショパン
正式名称はフレデリック・ショパンが作曲した独奏ピアノ曲「練習曲作品10第3番ホ長調」となりますが、日本においては「別れの曲」として有名です。その旋律は誰もが耳にしたことがあるであろう、穏やかでどこか物悲しい、まさしく別れの曲というタイトルに相応しいものとなっています。
作曲者本人のショパンも「一生のうち二度とこんなに美しい旋律を見つけることはできないだろう」と言わしめたほどの完成度を誇り、世界一美しい曲とも言われるほどの出来となっています。
練習曲作品というだけあり、元々はピアノの練習曲として作られていますが、現在はフルートの練習曲としても知られています。
星に願いを(When You Wish Upon a Star) / リー・ハーライン
ディズニーの名曲としても知られる「星に願いを」もフルートの練習曲としては有名であり、初心者の方にも練習しやすい曲となっています。ただ初級から中級向けと中級から上級向けがあるので注意してください。
曲としては有名であるため、今更と思われるかもしれませんが、多くの場合、ピアノの独奏やオーケストラで聞くことが多く、フルートの独奏や三重奏で聞くことはあまりないと思います。オーケストラのような壮大なスケールの演奏も良いですが、フルートによる軽やかな演奏もまたその印象を変えてくれるはずです。
コンクールでよく使用されるおすすめの名曲厳選5曲
フルートのアンサンブルコンテストやソロコンテストに行くと自由曲は各々が選んできた曲を演奏されるので、中には気に入ったけど曲が分からないという事もあるかもしれません。あるいはそこで聴いたあの曲を思い出したい!という事もあるのではないでしょうか?
そんな時には以下の曲を聴いてみると、あの時聴いた「あの曲」が思い出せるはずです。こちらではそんなコンクールでよく使用される名曲をご紹介していきます。
碧い月の神話 / 石毛里佳
フルートの三重奏としてコンクールで演奏されることの多い曲です。この曲は現在も作曲家として活躍する石毛里佳によって作曲されたものです。彼女は東京藝術大学音楽学部作曲科を卒業後、吹奏楽曲やアンサンブル曲などを多数作曲し、楽譜が出版されています。
この曲は、難易度はかなり高いため、アンサンブルとして上手く演奏できれば金賞も狙える曲となっているため、意外にも多くのコンクールで耳にすることがある曲として有名です。
フルート吹きの休日 / J.カステレード
フルートの四重奏曲として、こちらも良く耳にするであろう曲です。軽快なフルートの音色が心地よい曲ですが、4人でのアンサンブルとしてはこちらも難易度が高く、完成度を高めるためにはかなりの練習が必要となります。
ただ一方で中学生や高校生でもこちらを選ぶ方は少なくなく、決してアマチュアが挑戦できない曲ではないという印象もあります。いずれにしても各所でよく耳に知る曲としてこちらも有名です。
想い出は銀の笛 / 三浦真理
こちらも日本の作曲家である三浦真理が作曲したフルート四重奏の曲になります。この曲は変化に富んでおり、特徴的な5つの小品によって構成される曲であり、ポップス系リズムを取り入れて書かれた曲としては先駆けとなる名曲です。
メヌエット (アルルの女第2組曲より) / G.ビゼー
こちらは先述したメヌエットと同様のものになります。コンサートで演奏される曲としても有名であり、もはや鉄板と言っても良い曲となっています。曲については先述した通りですが、その難易度は上述の3曲にもひけを取らないものとなっています。
こちらは元々ハープと共に演奏される曲ですが、実際にコンクールではフルートのみの演奏が多く、ソロコンサートで耳にすることが多い曲となっています。
カルメン幻想曲 / パブロ・デ・サラサーテ
スペインのヴァイオリニスト、パブロ・デ・サラサーテが1883年に作曲した曲です。そのため元々はヴァイオリンと管弦楽のための幻想曲であるため、ヴァイオリンがメインとなる曲として知られています。
この曲はオペラ「カルメン」に登場するメロディを用いた曲であるため、ヴァイオリンの名技を如何なく発揮する曲として知られています。そのため難易度も高めとなっていますが、それはあくまでヴァイオリンの曲としての話であり、フルートでの演奏であればその比ではありません。
楽器が違うため比べるものではないですが、フルートでメインの旋律を演奏するにはかなりの技量が必要となります。そのためコンクールでこの曲を吹く方はかなりの技量を持っていると言っても差し支えないでしょう。
世界的フルート奏者である上野星矢によるフルートの演奏が有名ですが、そこで見られるフルートの超絶技巧はまさに圧巻の一言に尽きます。
聴くだけで痺れる?難曲まとめ厳選3曲
上記のカルメン幻想曲もかなりの難易度ですが、世の中にはさらに難しい曲も存在します。演奏は出来ないけど聴いてみたい!ちょっと難しいけどやってみたい!という難曲をここからはご紹介していきます。
フルート協奏曲 / アラム・ハチャトゥリアン
旧ソビエト連邦の作曲家であり指揮者でもあったアラム・ハチャトゥリアンの曲です。ハチャトゥリアンと言えばバレエ「ガイーヌ」の最終幕で用いられる楽曲「剣の舞」が有名です。運動会などで誰もが耳にしたことがある曲でしょう。
軽快で速い旋律が特徴の曲として知られていますが、その特徴はこのフルート協奏曲にも見られます。緩やかな旋律を奏でる部分もありますが、一瞬にして軽快なリズムへと戻るためその切替えだけでも難しいですが、フルートによるソロも多くあり、フルート奏者としてはその技量を試される曲となっています。
Unity Capsule / ブライアン・ファーニホウ
ブライアン・ファーニホウが作曲したこの曲は、世界で最も譜読みが大変と言われる曲です。それ故に世界で最も難しい曲とも言われることがある曲でもあります。例え譜読みが出来たとしても、演奏をする為には相当の技量が必要と言える曲でしょう。
この曲ができ、初演したのがフランスのピエール・イヴ・アルトーですが、彼は超人的なテクニックと深い楽曲解釈をするフルート奏者として有名でした。しかしそんな彼をして、譜読みに2年もかかった曲として後世に語り継がれています。
ファンタジー / ゴーベール
ゴーベールのファンタジーもフルートの曲としては難易度が高い曲となります。出だしは穏やかでゆったりとした旋律の曲ですが、途中軽やかで素早いパッセージが現れます。そのため素早いタンギングやアルペジオが続くところがあり、演奏の難易度を引き上げている部分となります。
決して演奏できない曲ではありませんが、美しくスタイリッシュに表現できるようになるためにはかなりの練習が必要となる曲であるのは確かでしょう。
かっこよすぎる!ジャズフルートの名曲まとめ厳選3曲
フルートというとソロやオーケストラによる演奏が一般的ですが、マイナーながらもジャズフルートというものも存在します。このジャズフルートはオーソドックスな演奏とは異なり、かなりかっこいいという印象を受けるものとなっています。
フルートをやっている方なら一回は聴いてみたい、演奏してみたいと思わせるようなジャズフルートの名曲をご紹介していきます。
A列車で行こう / ビリー・ストレイホーン
ジャズ界の巨匠として知られるデューク・エリントンの代表曲として名高いのがこの曲です。ジャズを聴いたことがない方でも耳にしたことがあるのではないでしょうか?
明るく親しみが持てるこの曲は、軽快なテンポとメロディとなっており、ジャズフルートでの演奏にはもってこいの曲となっています。邦画「スウィングガールズ」でも登場し、聴く方々に親しみやすい曲として有名です。
フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン(Fly Me to the Moon) / バート・ハワード
ジャズの世界では多くのアーティストによって歌われるスタンダードナンバーです。アニメ「新世紀エヴァンゲリオン」のエンディングで使われたことで一部の世代にはよく知るところの曲となっているのではないでしょうか。
フルートの軽やかで伸びのある高音で演奏されることにより、普段の演奏とはまた違った表情を見せてくれる曲でもあります。
枯葉(仏題:Les Feuilles mortes) / ジョゼフ・コズマ
1945年に上映されたバレエ「ランデブー」の挿入曲としてはあまりにも有名な一曲です。こちらもジャズフルートの一曲としては有名ですが、曲そのものもジャズを聴いたことがない方でも耳にしたことがあるのではないでしょうか。