ゆるい?きつい?フルートの足部管手入れとグリスの必要性
フルートは分解するといくつかのパーツに分かれます。それぞれが重要なパーツとなり、そのどれかに異常があっても綺麗な音色を奏でることは出来ません。
フルートのパーツの中に足部管というものがあります。この部分が正常に使えないと綺麗な音を奏でることは出来ないのです。そこでこちらではフルートの足部管の手入れの方法とグリスの必要性についてご紹介していきます。
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フルートの足部管とは
まずフルートの足部管とは何なのか、そこからご紹介してきましょう。フルートは大きく分けると頭部管、胴部管、足部管の3つに分かれます。頭部管は口を付けるリッププレートがある部分、胴部管は真ん中にある音階を作るキーのほとんどが存在する部分、そして足部管は演奏する際、最も遠くなる部分になります。
足部管にはC管とH管があり、この足部管の存在次第で最低音が変わります。フルートは基本C管(C調)で最低音はCつまりドになりますが、H管(H調)の足部管にすると最低音はHつまりシの音が最低音になります。このH管にすることにより、全体的に少し長くなり、音色はやや暗くなると言われています。つまり足部管は調を変えるとともに、音色も変えるという役割も持っているという事です。
足部管がきつい・ゆるいは楽器店へ修理をだしましょう!
既に演奏をし始めている方には共感していただけるかもしれませんが、足部管はトラブルが起きがちな場所です。足部管が緩いことで演奏中に取れてしまったり、逆にきつ過ぎで手入れの時に抜けず分解できなくなったり、と意外と「あるあるなトラブル」が起こります。
そんなトラブルが頻発するときには楽器店でメンテナンスすることをおすすめします。緩いところに詰め物などをして対応すれば、空気の流れや本体の音の響きが変わってしまい音色も悪くなりますし、何よりも本体のダメージにもなり兼ねません。
きつい場合も無理に抜こうとすれば、フルート自体を悪くしてしまうこともあります。足部管が悪くなったと思ったら、自分で対処せずすぐに楽器店に連絡して修理してもらいましょう。
しかし、修理に出す時間がない、費用がない、応急的な措置をしたいという方もみえると思うので、そのような場合の方法をご紹介してきます。ただしあくまで応急的なものなので、フルートを長期的に良い状態で保つためにも、出来る限りプロに修理してもらうようにしてください。
足部管がきつい・抜けない原因と解決方法
フルートの足部管がきつい、また抜けなくなる原因はいくつかありますが、こちらではその原因に沿った解決方法をご紹介していきましょう。原因が分かれば、対処の方法も見つけやすいため、修理に出す場合も原因の究明は出来る限り出来るようにしておくといいです。
製品自体の問題
購入した当初から足部管がきついという場合があります。これは製造時、その工程で1本1本手作業で摺合わせをするため、それぞれに僅かな誤差が生じてしまいます。そのためきついものや緩いものが存在するのです。
このような場合はジョイント部分をクロスで拭ことでも解消することがあります。他にも滑りを良くするためにグリスやロウを塗るという方法もあります。ただどちらも素人の手でやるとやり過ぎることがあるため、楽器店に持ち込んだ方が確実でしょう。
ジョイントに汚れやほこりがたまっている
使用し続ければ組み立て時にどうしても汚れやほこりが溜まることがあります。そのような場合はそれを拭き取ってあげることで解決します。単純に周りに汚れなどが付着しているだけなら自分で拭き取ることができますが、組み立てを続けることで傷がついて、そこに汚れが溜まった場合は自分では対処できません。
こういった場合は楽器店や専門店に持ち込んで修理する必要があります。自分で拭き取る時も力いっぱい拭き取ると傷が付く場合があるので慎重に拭き取るようにしましょう。
ジョイント部分に凹みが出ている
使い続ければ金属部分は凹むことがあります。それはぶつけた時など起こりやすいトラブルです。この場合はもうどうしようもありません。解決策としては楽器店や専門店で修理してもらうほかありません。
足部管がゆるい・抜ける原因と解決方法
足部管が緩く抜ける原因についても見ていきましょう。あり得る主な原因としては老朽化や、埃や汚れによるジョイント部分の摩耗などが考えられます。金属や木材である以上、削れて薄くなってしまうのは仕方なく、そして詰め物などで埋めるしか方法がないのは確かです。
しかし適当なもので埋めるのは本体の負担に繋がります。そのため、応急的な方法として最も負担が少ないとされる方法をご紹介していきます。
片面の両面テープを少し貼る
要するに隙間が出来ていることで緩くなっているので、足部管をジョイントさせる胴部管の摺合わせ部分に片面の両面テープを少し貼ることで隙間が埋まり、緩みが解消されることがあります。あまり大きく貼ると、粘着部分が大きくなり剥がした後に汚れなどの付着部分が大きくなるので、小さめにしておきましょう。
また両面テープは片面の保護シートを剥がすことで両面粘着が可能ですが、保護シートを剥がしてしまうとジョイント部分がくっつき、それこそ分解できなくなるので、あくまで片面だけになります。
パッドペーパーを挟める
パッドペーパーを隙間に挟むという手もあります。あくまで応急処置なので、これで隙間を埋めてしまえば、演奏中に取れてしまうという事はなくなる可能性が高いです。パッドペーパーなので水分も吸収してくれます。
グリスの必要性
先ほども出てきましたが、きつい場合はグリスを塗るという方法があります。このグリスですが、機械などを触る方には馴染みがあるものだと思いますが、液状潤滑油のことになります。ただしオイルのように広がりやすいものではなく、粘度が高くて流動性が低いため、意図的に伸ばすなどをしないといけない潤滑油になります。
つまり塗ったところで零れ落ちてしまうことはあまりないという事です。これを少量ジョイント部に塗り、薄く広げることで滑りを良くすることができるのです。これだけ聞くと便利なものに聞こえますが、フルートのジョイント部に塗るのはあまりおすすめしません。
きつい場合の対処法としてご紹介はしましたが、あれは応急処置としてなので修理に出せるのであれば、出来れば避けていただきたい方法です。
グリスは上述通り粘度が硬い潤滑油です。そのため汚れや埃がグリスに付着することが多くなります。そうなるとそれぞれの管を繋いだ際、汚れや埃で傷つけてしまう可能性が高くなります。そのためフルートにグリスを使うのはあまりおすすめできません。
ただし、どうしても修理に出せない場合は一時的に使用し、解体した時にはしっかりと拭き取るようにしてください。
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グリスの代用品
グリスの代用品としては、こちらも先ほど出てきたロウがおすすめです。ロウは塗ることで滑りを良くしてくれるのに、粘度があるわけではないのであまり埃などが付着しません。
ただ全く付着しないわけではないので注意して下さい。またロウはしっかりと塗ると拭き取るのが大変なので、軽く塗る程度にしましょう。