ピッコロの特徴や音域とおすすめ厳選5種
フルート、と一言に言ってもその種類は1つではありません。皆様が義務教育中に触ってであろうリコーダーにもソプラノとアルトがある様に、フルートにも種類があるのです。
フルートの1つにはピッコロという関連楽器があります。その音域はフルートとは異なり、音色にも違いが出てきます。その他、様々な特徴の違いがありますが、これはこれで味のある楽器です。こちらではそんなピッコロの特徴や音域とおすすめ厳選5種をご紹介していきます。
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ピッコロの目次
ピッコロとは
まずはピッコロという楽器の概要からご紹介していきましょう。
ピッコロはフルートの関連楽器であり、あくまでもフルートを基本としているので細かい部分を除いてはその奏法などは変わらない楽器になります。ただフルートよりも1オクターブ高い音域を演奏することができる楽器であり、吹奏楽において高音域を担当するために作られた楽器でもあります。
そもそもこのピッコロという名称はイタリア語における「小さい」という意味を持つ言葉を語源としており、フルートと比べても小さく短い管楽器で軽量なのが特徴です。フルートそのものも小さい部類にはなりますが、それよりもさらに小さい管楽器になります。具体的な数値でいけば、フルートは全長約650mmに対し、ピッコロは約340mmとなっています。
世界各地でこの楽器のことをピッコロと呼ぶようになりましたが、語源となったイタリアだけは「小さい」と混同してしまうため、オッタヴィーノ(ottavino)と呼ぶのが一般的とされています。
後述しますが、フルートは金属製の物がほとんどであるのに対して、ピッコロは木製のものとなっているのが大きな違いとなります。またフルートは頭部管、胴部管、足部管の3つのパーツで構成されているのに対して、ピッコロは頭部管と胴部管のみで足部管を欠いているというのも違いとなっています。
値段もメーカーや素材によってピンキリですが、その相場は大体100,000~200,000円程度となっています。
ピッコロの歴史
ピッコロはフルートの派生楽器として生まれ、これが使用されていた初期はフランス宮廷における屋外音楽で使用されていたという可能性が示唆されています。
当時のピッコロは木管楽器の古楽器の一種である「フラウト・トラヴェルソ」を小さくした様相を呈しており、キーは右手小指の1つだけとなっていました。
この形状とすることでフルートよりも高音域を演奏するために18世紀頃に誕生し、宮廷音楽の場で使われていたと考えられています。
ピッコロの種類
ピッコロと一口に言っても、その種類はいくつかに分けることができます。主な分け方としては使用されている材質と唄口の形になります。それぞれの特徴などを詳しく見ていきましょう。
材質の種類
まずは材質です。先述したようにフルートの場合はそのほとんどが金属製となっていますが、ピッコロは木材を中心として金属製の部品で構成されたものや、金属製、樹脂等の材質で作られているものと様々です。そのため材質によって音色も異なります。
木製
木製のピッコロはその材質のおかげで音色が柔らかで豊かな響きを奏でるのが特徴となっています。そのためオーケストラや吹奏楽、バンドにおいても主張しすぎず、全体的な調和をしやすい音色となっています。
木製と言っても、使う材料によって違いがあり、グラナディラや黒檀、コーカスウッド、ツゲといくつか種類があって、その音色や硬度も異なります。
金属製
金属製となるとフルートと同様の構造を持ちリッププレートがあるのが特徴となっています。材質的な特徴も似ていることから、フルートからの持ち替えも違和感なく行えるのも、このピッコロの利点となっています。
銀と白銅製の2種類が存在し、銀は特有の豊かな響きを奏で、白銅は固めの音質で音抜けが良いという傾向にあります。
ABS樹脂
樹脂製であるABS樹脂は衝撃や傷に強く耐久性に優れているという特徴を持ちます。頭部管に白銅製や洋銀製のものを使うことが多く、音抜けの良い響きを得られるのが特徴となっています。
割れの心配も少ないため、オーケストラよりは野外演奏などバンドで使用されることが多い材質となります。
頭部管の歌口の種類
頭部管の唄口の種類で分かると大きく3つに分かれます。この種類によって、演奏時のアンブシュアは大きく異なるため、その特徴をしっかりと理解しておくことが大切です。
ノーマル型
ノーマル型の場合は後述の波型やリッププレートが付いていない、すっきりとしたデザインの頭部管となっています。そのため基本となるアンブシュアで吹く必要が出てきます。主にはアンブシュアを細くし、息を鋭くして吹く方法です。形状がすっきりとしている分、柔らかく素直な音色となるのが特徴の歌口となっています。
波型
歌口が波型の形状になっているのが特徴となります。この形状により、息が集めやすくアタックが明確となるため、3つの歌口の中では抜群の吹きやすさがあり、優れたレスポンスが得られると人気の歌口となっています。
リッププレート型
フルートと同じリッププレートが取り付けられた頭部管です。そのためアンブシュアもフルートと似た形となります。金属製の頭部管に採用されることが多く、明るい音色となるのが特徴となっています。
ピッコロの特徴
ピッコロは先述したように、オーケストラや吹奏楽、バンドに至るまで、最高高音を担当する管楽器となっています。そのため、フルートよりもさらに短く、小さくて軽い管楽器という特徴を持っているのは先でもご紹介した通りになります。
また演奏においてもピッコロは、低音は高くなりやすく、高音は低くなりやすい傾向にあります。これはフルートとは逆となる傾向なので、ピッコロ特有と言えるでしょう。他にもその音域や代表曲にも特徴があります。そのあたりをもう少し掘り下げてみましょう。
ピッコロの音域
ピッコロの音域は中央のC(ド)のオクターブ上のd’(レ)から3オクターブ上のC’’’’(ド)までとなっています。そのためフルートの1オクターブ高い音が出せるのが特徴となっています。
しかしピッコロはその構造上、足部管がないため、フルートで出せる最低音の実音CとCisは出すことができないようになっています。
ピッコロの代表的な作品
ピッコロには代表曲も存在しています。こちらでは代表的な作品を3種ピックアップさせていただきました。ピッコロの音色が気に入った方はこちらも是非聴いてみてください。
行進曲:星条旗よ永遠なれ / スーザ
こちらは運動会などでもよく聞く行進曲です。名前だけ見ると分からないかもしれませんが、耳にすれば「ああ、あの曲か!」と思われることでしょう。星条旗という名の通り、アメリカで生まれた曲であり、元アメリカ海兵隊音楽隊隊長のジョン。フィリップ・スーザが作曲した行進曲です。
アメリカを代表する「愛国心の象徴」ともされる行進曲であり、ピッコロのソロが特徴的な曲の1つとなっています。ピッコロの軽快で明るい音色を聞きたいのであればおすすめの1曲です。
交響曲第4番(第3楽章) / チャイコフスキー
チャイコフスキー作曲の交響曲第4番、その中でも第3楽章の「Scherzo: Pizzicato ostinato. Allegro - Meno mosso」になります。この楽章では弦楽器が終始ピチカートで演奏されるのが特徴となっています。
中間部ではピッコロを中心とした木管楽器が活躍する主題が続いており、ピッコロの高く可愛らしい音色が奏でられています。こちらもピッコロの特徴的な音色を楽しむのであれば、代表的な曲の1つとして数えられるでしょう。
ピタゴラスイッチ / 栗原正己
誰もが耳にしたことがあるであろう、幼児教育番組で一躍人気となったフレーズが特徴的な曲「ピタゴラスイッチ」もピッコロによって奏でられる代表曲となっています。あの可愛らしい高音は、このピッコロによって奏でられているのは意外にも知られていません。
耳に残るあの独特のフレーズは全てピッコロソロによって演奏されているのです。軽快で可愛らしいあの音を堪能するにはもってこいの曲というわけですね。
ピッコロの価格
さて、ピッコロが何たるか、という事はここまでで知っていただけたかと思いますが、いざ手に入れようと思うと、その価格が気になるところだと思います。
先述したように、メーカーや材質によってピンからキリまであるため、高いものを見てしまえば超高額の物まであります。確かに価格としては高いものの方がより上質なピッコロであることは確かですが、誰もが手が出るわけではありません。
初心者なら特に、いきなり高額の物を買うのは躊躇われます。そのため最低でも1万円前後を見ておけば初心者向けのピッコロを手に入れることが出来るという事をまず知っておいてください。これより低価格のものもあるにはありますが、あまり低価格のものだと、質が悪く、練習にも支障をきたすこともあります。
ただある程度技術が付いてきて、発表会やコンサートにでるレベルにまでなるとそのような低価格のものではいけません。そのため平均的な相場として100,000~200,000円程度のものを見ていただくといいでしょう。これぐらいの予算があれば立派なピッコロを購入することができます。
ピッコロの吹き方
ピッコロの吹き方についてもご紹介しておきましょう。まずはアンブシュアですが、こちらは先述したように、細く鋭い息を入れるようにするのが特徴となっています。
ピッコロはその大きさの関係でフルートよりも使用する息の量は少ないです。そのためフルートのアンブシュアのようにすると息が多すぎて、音が割れてしまうことがあります。だからと言って、息の圧力まで減らしてしまうと力の無い音になってしまいます。
難しいですが、フルートよりも息の量は少なく、しかし圧力はフルートと同様かそれ以上必要になってきます。そのため少量でコンパクトにまとめた息を送るためにも、アンブシュアは細くする必要があるのです。
この高い圧力を生むためにはアンブシュアの形だけでなく、お腹でしっかりと支えることも重要です。お腹で支えることによって圧力の高い息を出すことができます。またピッコロの運指についてはフルートのそれと同じになります。
ただし、先述したようにピッコロはフルートよりも1オクターブ高い音で奏でるため、記譜も1オクターブ上で読む必要があります。また足部管が無いので、最低音のCとCisを出音する運指はピッコロにはないので注意してください。
ピッコロの難易度は?
ピッコロは難易度が高めの管楽器です。フルートの関連楽器であり、フルート自体が管楽器の中でも最も簡単とされているので、同等に考えられるかもしれませんが、とんでもありません。
ピッコロは先述通り高音域を演奏することから音程が合わせにくくなっています。またアンブシュアも相当練習しなければまともな音は出せず、キーもフルートに比べて小さいので押さえにくいです。フルートの高音域が得意なのであればまだ入りやすいですが、それでも全体的には演奏は難しい部類になります。
ピッコロとフルートは同じ楽器?
上記からも分かる通り、ピッコロとフルートは似て非なる管楽器という意見が多くなっています。もちろん事実として関連楽器である以上、同じ楽器ととらえる方もいらっしゃいますが、賛否両論となっています。
同じ楽器という意見
同じ楽器とする意見は少数派です。その理由としては運指が同じであることや、構造がほぼ同じであることから同様の楽器として見られるようです。
同じ楽器ではないという意見
こちらが多数派、というかこちらの意見がほとんどです。フルートとピッコロはともにC管となっていますが、フルートの最低音がC(ド)なのに対してピッコロはD(レ)となっています。ものによってはDes管ピッコロというものもありますが、こちらでは割愛させていただきます。
また記譜も実音より1オクターブ上となっており、ピッコロは移調楽器となっています。それに対してフルートは移調楽器ではありません。そのためフルートからピッコロへの持ち替えは可能なものの、記譜の読み方は異なるという点でも、この2つは同じ楽器ではないという意見となっています。
ピッコロの手入れ方法
ピッコロの手入れの方法についても見ていきましょう。ピッコロはその素材の多くが木製となっており、木製の楽器は水分と日光に弱いという性質があります。そのため、内部の水分、特に唾液は良く拭き取っておくことが重要となります。
これは保管時だけに関わらず演奏中も同様です。長時間の演奏で唾液が溜まると、ブリチアルディキイやトリルキーのトーンホールに水滴が溜まりまともな発音が出来なくなるという致命的な問題が発生します。
これを防ぐためにも、クリーニングロッドと吸い取り紙やガーゼなどを常に携帯し、長休符の際にこまめに拭うこと、そして演奏が全て終わり、仕舞うときには特に念入りに水分を拭き取ることが重要です。
また保管時にはケースなどに入れ、直射日光に晒さないことも重要となります。しかし涼しい場所が良いというわけでもありません。実は楽器が冷えた状態で急に吹くと割れてしまうことがあるのです。そのため、手や体でゆっくり暖めることや、夏場のクーラーの周りで楽器が冷えないようにクロスなどをかけて保護しておくことも重要となります。
定番のおすすめピッコロ:厳選5種
さてピッコロの音色や特徴、その魅力などが分かったところで、ピッコロを始めたい!という方もいらっしゃるのではないでしょうか?こちらはおすすめのピッコロを5種厳選させていただき、ご紹介させていただきます。
パール(Pearl) / PFP-105E,PFP-105ES
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フルートメーカーの中では品揃えパールから発売されているのが、こちらのピッコロです。木製で優れた音響特性を持つグラナディッテを素材として、バランスが良く深い響きを作り上げています。そのためピッコロに求められる豊かな表現力を発揮するので、奏者にとっても演奏しやすい商品となっています。
湿気の影響を受けにくいのもポイントで、雑音や緩みを解消することで、素早い音の立ち上がりを実現し、明瞭な音の輪郭を表現してくれます。ピッコロを購入するのであれば、第一候補に挙げていいほどおすすめの商品となっています。
P.ハンミッヒ(P.Hammig) / ピッコロ 650/3
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世界的にも人気で知名度もあるP.ハインリヒから発売されているピッコロは、長時間かけて自然乾燥させたグラナディラ材を使って仕上げられています。そのため優秀な操作性があり、豊かな響きを奏でてくれる商品となっています。
さらに650/3はG#メカニズムを搭載することで、3オクターブのG#の発音を容易に行えるようにするなど、演奏しやすいシステムを導入しています。まさに職人による技術の結晶と言えるピッコロとなっており、同メーカーでも1,2を争うほどの人気を博しています。
ヤマハ(YAMAHA)YPC-62 ピッコロ
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楽器の定番ヤマハから発売されているピッコロは伝統的なスタイルを重んじ、外観から美しさを感じられる商品となっています。しかし見た目だけでなく、ヤマハ独自の管体テーパー及びトーンホールポジションを用いることで、正確な音程を奏でられます。
さらにEメカニズムも採用することで、高音域も無理なく演奏できるようになっています。グラナディラ材を使用しているので、深みのある音色もまたこの商品の魅力となっています。
ケルントナー(Kaerntne)/ KPC-320
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こちらはコンクールやコンサート用というよりは入門用や練習用としておすすめの商品です。商品によってはセミハードケースとメンテナンス用具も付属しているので、これさえ購入すれば初心者も安心の一式となっています。
音色や響きこそ上記の商品には劣るものの、コストパフォーマンスが良いことから、とりあえずやってみようという方には打ってつけの商品となっています。
Jマイケル(J.Michael) / PC-800
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こちらも商品としてはピッコロだけなく、木製ハードケースなど持ち運びに便利な用品が付属しているお得な一式です。主管には合成木を使用しているので、グラナディラ材などを使っているものには音色で劣りますが、木製ならではのやわらかな音色は健在です。
こちらも入門用モデルとして、初心者の方にはおすすめの製品です。KPC-320よりも値は張りますが、安定した品質があるので、これ1本でメンテナンスさえしていけば練習用は十分な期間使用することができます。