フルートは木管楽器?音域や構造と音の出る仕組み
高く綺麗な音を奏でるフルートですが、その演奏の仕方は見ている分には簡単そうに見える方も知れませんが、その実、ちゃんとふける様になるまでは地道な練習が必要だと言います。
ただ音を出すだけなら何とかできるでしょうが、きれいな音色を奏でて演奏するのはちょっとやそっとの練習ではできません。
それは基本的な演奏方法もそうですが、その構造の理解も必要となってくるためです。そもそもなぜ音が出るのか、これを考えている方は意外にも少ないです。
そこでこちらではフルートの音域や構造と音の出る仕組みについてご紹介していきます。
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フルートの音が出る仕組みの目次
フルートは難しい?
フルートは初心者にとって難しいのか、と言われればしっかりとした演奏を行おうと思うのであれば難しいと言えるでしょう。楽器の中でフルートが最も運指が簡単と言われていますが、それでも慣れるまでに練習は必要となります。
しかし、「フルートで音を出す」だけならそれほど難しいものでもないのです。口の形の作り方も少し時間をかければ出来るようになりますし、何も考えずにリコーダーのように息を出しても音はなるのです。
ただし、それが私たちが知っているフルートらしい音になるかと言われればそうではないのです。
だからと言ってじゃあ諦めようと思う必要もありません。オンブシュールというような吹き方の技術などは練習をし、正しく実践できるようになればフルートらしい演奏に聞こえるようになります。
それでも細かい部分で躓く部分もあるでしょう。例を挙げると、フルートでは音域の中でE5からF#5は音が割れやすいといった難しさがあるため、ここを綺麗に出すには相当の練習が必要になります。
また楽器において演奏する前に大切になるピッチの調整(チューニング)も慣れないうちは調整しにくいかもしれません。ただし、こちらは他の楽器の音と合わせれば良いため、続ければ慣れるまでにそれほど苦労はしないでしょう。
基本をしっかりと身につけつつ、簡単な曲を練習していけば1~3カ月程度でしっかりとした曲として吹くことが出来ると思います。
ただこれはその人の練習量や個人差もありますし、何歳で始めるかで多少慣れるまでの時間に違いが出てくるので、あくまで目安です。
フルートってどんな楽器?
日本はフルート大国といわれるほど他の国と比べてフルート奏者が多いのです。例えばピアノやオルガンは高額で場所も取り、日本の住宅事情も考えると近所への迷惑からなかなか購入あるいは習うことが難しいのです。
しかしフルートは楽器そのものがコンパクトであり、価格も入門用は手が出ないほどの高さではありません。
また音量も調製しやすいので小さい音で練習できることも出来ることから人気となっているのです。集合住宅などが多い日本ではまさしく適した楽器とも言えるでしょう。
フルートの音色や音域について
フルートは繊細で優雅な旋律を奏でることから、オーケストラや吹奏楽において旋律楽器として活躍します。その音色は綺麗で気品のある高音を奏でることから「楽器の女王」とまで称されています。
また音域も低いものはH(シ)から4オクターブ上のC(ド)まで奏でることができます。
フルートの魅力は優雅さや可憐さこそ最も注目すべき魅力と言えるでしょう。それ故にソロコンサートでも魅了される方おり、そしてオーケストラや吹奏楽といった中でもその存在をしっかりと現すことが出来るのです。
ちなみにフルートの綴りですが、英語では「flute」、ドイツ語では「Flöte」、フランス語では「flûte」となりあまり変わらないことが分かります。
フルートが木管楽器の理由
フルートは数ある楽器の中でも木管楽器に分類されます。木管と言われると木で出来た楽器のはずなのに、フルートは皆様も良く知る様に金属の楽器であり、不思議に思われる方もいらっしゃると思います。
これはフルートの誕生に由来します。フルートそのものは4万年前にはその原型ができており、その時代に作られたと思われるものが発見されています。それは動物の骨を使用しており、息を吹き込む穴と音程を作るための穴が2~3個空いているだけの単純なものだったのです。
これが時代を経るごとに伝えられ、様々な改良が加えられて半音階の演奏を様容易にしたキーの出現など進化を続けてきました。その過程で全体的な材質も音が反響しやすい金属へと変えられていったのです。
しかし動物の骨から金属にいきなり変わったのではなく、その間には木製のものが作られていたのです。フルートを含め、様々なものに金属が本格的に使われるようになったのは18世紀の産業革命以後になります。
それ以前も金属自体は使われていましたが、貴重であり部品の一部分しかありませんでした。つまり長きに渡りそのほとんどの部品が木製のフルートが使われていたのです。
フルートは移調楽器ではない
多くの管楽器は移調楽器になります。移調楽器とは楽譜に従って音を出した時、その記譜とは違う高さの音が出る楽器のことを言います。つまりは楽譜にドが記されていたため、ドを吹いたつもりが別の音が出てしまうような楽器のことです。
結論を先に言ってしまうとフルートは移調楽器ではありません。これはドの運指を行った時、ちゃんとドの音が出るためです。
しかし、フルートの関連楽器であるアルトフルートはフルートと比べて音域が短3度低く、フルートと同じ構造を持っているのに同じ運指を行ってもドの音は出ません。
フルートがドの記譜に従ってドの運指を行ったらドが出るのに対して、同じ記譜に従い同じ運指を行っているのにドが出ないアルトフルートは移調楽器であるという事になります。
またフルートをB管と勘違いされる方も多いようですが、実際は違います。
中学時代吹奏楽部に在籍していた方に多く、またオーケストラや吹奏楽でのチューニングにおいてBで行うことが多いことからそのような誤解が生まれていますが、それは大きな間違いなので気を付けましょう。
フルートの構造
フルートを分解したことがある方、あるいはそれを見たことがある方はイメージしやすいかもしれませんが、フルートは3つのパーツで成り立っています。それが以下のパーツになります。
- 頭部管(ヘッドジョイント)
- 胴部管(ミドル・ジョイント)
- 足部管(フット・ジョイント)
名前だけで見てもよく分からないと思うので、それぞれのパーツについて詳しく見ていきましょう。
頭部管
頭部管はフルートを演奏する上で必須となる息を吹き込むマウスホールがあるパーツになります。その周りには唇を着けるためのリッププレートや、正しい音階を作るため空気の反響を調節するコルクと反射板があるなど、フルートの心臓部とも呼べる存在です。
それだけ重要なパーツなだけに、頭部管のみの販売などをしているメーカーも多いほど、個々の部分だけは扱いが異なっています。
胴部管
胴部管は音階を作る上で重要なキーのほとんどが付いているパーツになります。そのためキーメカニズムを壊さないように扱いは慎重に行う必要があり、組み立てや分解時にも中心になるパーツとなっています。
3つのパーツの中では最も長いのも特徴です。
足部管
足部管は胴部管に入っていない残りのキーが含まれているパーツになります。フルートの足部管は2種類あり、C管とH管に分かれます。この2つの大きな違いは長さ、そして付属しているキーの個数が違います。
それぞれの管についてもう少し詳しく見てみましょう。
C管
C管はC(ド)が最低音として音を出すことができる足部管です。H管よりは短く、キーも2つと少ないのが特徴です。
また音色にも違いがあり、H管よりも明るくなる傾向があります。これはH管より長さが短いことで気柱の長さに影響しているためです。
H管
H管はC管よりも長く、キーも1つ多い3つが付いています。これはC管の最低音であるC(ド)よりもさらに1つ低いH(シ)が必要となったときに音を出すために使われるためです。
音色もC管より暗めとなっており、また高音域が安定するとも言われています。
フルートの音が出る仕組み
フルートの音が出る仕組みは、簡単に説明してしまえば瓶に息をあてて音が鳴るイメージと同じになります。
フルートのマウスホールにあるエッジと呼ばれる部分に向けて息をあてることで、唄口から入る圧力の高い音の波が管を通ることになります。
これは足部管の先や開いているトーンホールに向かっていくのですが、そこから反射して戻り唄口付近の空気を押し出して外に戻ろうとする性質があります。
この時、その部分の音圧は下がっていくので音圧が下がってしまった分、今度は吸収しようとするのです。この時、エッジ付近の空気を上下に震わせる波が生まれることで音が鳴るという仕組みになります。
この時点でも物理的なイメージでよく分からないという方もいるかもしれません。わかりやすく説明すると、フルートの中に入って逃げ場がなくなった空気が行ったり来たりすることで空気が震え、音が出る程度に思っておいてください。
これでもかなり齟齬があるのですが、理解できなくてもフルートは吹けるのでご安心ください。
ただ詳しく知りたい方は高校の物理の教科書を開いてみましょう。フルートについては載っていませんが、そこには音がなる謎に迫る現象や公式が満載となっています。
フルートの魅力って?
フルートの魅力と言えば女性的な可憐さと音色が挙がりますが、もちろんそれだけではありません。これを含め他にも次のようなものが挙がります。
- 可憐で優雅
- 運指が簡単
- 持ち運びに楽
- メロディを担当することが多い
- ピアノやヴァイオリンの音をそのまま演奏できる
- 楽譜が多い
- 維持費がかからない
- 脳にいい
可憐で優雅
フルートの音色はその素材やメーカーによって異なる部分はありますが、演奏する姿や奏でられる旋律は可憐で優雅、という形容に尽きるでしょう。
その演奏する姿だけでも芸術的な美しささえ感じさせるのがフルートです。演奏に浸るその空間は一時の安らぎさえ覚えるほどの、また心洗われるような時間を与えてくれることは間違いありません。
運指が簡単
先述しましたが、フルートは運指が最も簡単とも言われる管楽器です。
それ故に初心者でも始めやすく、また練習次第でどれだけでも上達できるような楽器となっています。これもまたフルートの魅力の1つと言えるでしょう。
持ち運びに楽
フルートは3つのパーツで出来ていることはご理解いただけたかと思いますが、これにより分解ができます。もともとそれほど大きな楽器ではないのに、さらに分解できることでコンパクトにまとまり、持ち運びや保管も非常に楽です。
またその大きさから練習場所も選ばないため、どこでも練習できてしまうことも魅力として挙がります。だからこそフルートを購入し練習する方が増えていくのでしょう。
メロディを担当することが多い
オーケストラなどを見ていくと、指揮者の近くには主旋律を担当するフルーティストを見ることがしばしばあります。
これは楽団だと首席フルート奏者と呼ばれる方が担当することがほとんどですが、曲において重要となるメロディを担当することも多いのがこのフルートの特徴です。責任もありますが、最もやりがいがあるのも魅力の1つです。
ピアノやヴァイオリンの音をそのまま演奏できる
フルートの曲は何もフルートのためだけに書き下ろされたものだけではありません。
元々はピアノのための楽曲であったり、ヴァイオリンのために書き下ろされたものだったりしてもフルートでそれが演奏可能なのです。
維持費がかからない
他の楽器、例えばよく見るピアノなどは定期的に行う調律に何万円とかかることがあります。その点でいけばフルートは、もちろん調整は定期的に行わなければいけないもののそれほど高くなく、場合によっては自分でも出来るものもあります。
そのため総合的な面で見れば、維持費が少なくて済むのもフルートの魅力です。
脳にいい
フルートの旋律は脳に良いと言われています。フルートを含む管楽器は、脳から筋肉に出す指令が複雑なため、上手に演奏しようと思うと脳が刺激され活性化につながります。
またフルートを吹くときの腹式呼吸も血行の促進や内臓の活発にし、結果として脳の活性化を促すと言われています。