気づいたら出来てた!?縄跳びの上手な教え方
義務教育を経験した人なら誰もが触れたことがあるであろう縄跳びですが、得意な人、苦手な人と様々いるでしょう。苦手な人は縄跳びを習ったときに上手くできなかったことが原因では無いでしょうか?子供にはなかなか難しいとも感じられる縄跳び、実は教わり方次第でできるようになるのです。
今回は縄跳びの上手な教え方についてご紹介していきます。
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子供の縄跳びが出来ない理由を探る
では縄跳びの教え方をご説明するまでに、なぜ子供に縄跳びが出来ないのか、という原因から探っていこうと思います。何事も解決するためには、その原因をしっかりと掴むことが大切です。
まずこの原因を紐解くために、縄跳びと言うものの原理から考えていきましょう。
縄跳びの不自然な動作が子供にとって難しい
最も簡単な前跳びをイメージしてください。かかと付近に縄をセットして回し始めますよね、頭上を通過した縄が足元に来る前にジャンプをして跳び越えます。そこでイメージをストップしてください。ジャンプをする瞬間、あなたは持ち手のグリップをどの方向に動かしていますか?
ほぼ全員が下と答えるでしょう。では同時にジャンプしているわけですから、身体はどの方向に動いているかと言うと、これは質問するまでもなく上ですよね。
考えてみるとこれ、とても不自然なんですね。実は縄跳びと言うのは自然法則に反した運動なのです。それを理解してもらいやすくするために、別のイメージをしていただきましょう。
今度は垂直跳びをイメージしてください。垂直跳びをしたことが無い人は、いないとは思いますが、そのような人は立ち幅跳びや走り幅跳びでもいいです。どの行為であったとしても人はジャンプをするとき腕をどのように動かすでしょうか。おそらく反動をつけるために勢いをつけて振り上げていると思います。
物理学的に考えても当たり前の行為です。上(物理では鉛直方向)に行こうとしているのに、1つでも下にかかる力があれば、それだけで鉛直方向の力は減少します。人がジャンプしても地面に戻ってくるのは常に重力がかかっているからですよね。
話が少し逸れました。つまり、上にジャンプして跳び越えようとしているのに、小さな力とは言え腕は下向きに力をかけていると言うのは、不自然なの動きであり、この動作が縄跳びを難しくしている理由といえます。
子供にとって縄跳びはとても複雑な運動
運動として不自然なので、脳内でもその信号は複雑に出されていることになります。ジャンプをするために地面を蹴る、しかし腕はロープを回し下ろすため下向きに力を入れる、ジャンプを助けるためには腕も上向きに振り上げたい思考に反するわけです。
ただでさえ、跳ぶという行為とロープを回すという2つの行為を同時に行うのだけでも複雑なのに、不自然かつ複数の行動を瞬時に思考し、信号を各器官に送らなければいけないわけですね。もちろんこんな信号を出されれば、身体は混乱し上手く動くことが出来ません。
大人がこれを無意識にできるのは、それまで生きてきた中で複雑な運動をいくつもこなしてきた為、ある程度の信号なら対応できます。
しかし、子供ともなるとそうはいきません。まだ発展途上のため、それほど複雑な運動は出来ないのです。それを訓練する意味でも縄跳びはあるわけですね。だからこそ成長期にあたる小学校中学年あたりから縄跳びを授業でやるようになるのです。
物理学的にも不自然であり、生物学的も難しい行為を私たちは子供に教えようとしているわけです。それは教える側としても教わる側としてもかなりの困難を伴うのは想像に難くないわけで。どの部分で子供が困っているのか、それを見分けるだけでも教え方はだいぶ変わります。
また、この原因から大人が上手く教えられない理由が見えてきます。
- 練習する年齢が低いため、言語理解力が追いつかない。
- 大人からすればなぜ出来ないのか理解できない。
- 単調な練習に集中が続かない。
この3つが挙がるわけです。原因、そして理由が浮かび上がりました。これを解決していけば上手に教えるヒントが得られるわけですね。
縄跳びの長さは合ってますか?
それでは1つずつ解決していきたいわけですが、その前に根本的な部分を確認しておきたいと思います。それは縄跳びがその子に合っているかということです。
厳密にはその長さが合っているかです。実は長さが適正でないだけで跳べないということがあります。これを直しただけで跳べるという子もいるので、すぐに見てみましょう。
基本的に長さの基準は「両足でロープの真ん中を踏み、両手に持ち手を1つずつ持って、脇を締めて二の腕を身体の側面に付け、手首を曲げずに肘を90°に曲げられる長さ」となります。
もし対象が幼児や幼稚園児だと話が変わります。このような年齢の子にもし教えるのなら「片足でロープの真ん中を踏み、持ち手が脇の下あるいは胸の高さにくる長さ」になります。
幼児や幼稚園児のほうが長めの設定になっているので注意してください。小学生以降は前者を基準としてください。また少し前に合わせたと言っても成長期の子供はすぐに背が伸びます。合っているかもしれませんが練習の前には必ず確認してみてください。
子供に合った縄跳びの選び方
先ほど縄跳びの長さの調整基準を説明させていただきましたが、それでもできるようにならない場合は、しっかり基本から練習する必要があります。
その場合、まず縄跳び選びから見直していきましょう。
前跳びを練習する上でも重要なのはロープを回しているという感覚を持つことです。そのため少し重さがあるくらいのほうがいいのです。
縄跳びともなるとビニール製のものを選びがちですが、実は初心者で縄跳びを苦手としているのであれば布製のロープを使った方が感覚が掴みやすいのです。
このロープには2つの利点があります。
- ロープが太いため空気抵抗が大きく、回している感覚が掴みやすい。
- 癖がつきにくく、太い分視認しやすい。
ビニール製よりも重くなるため速く回すことはできませんが、まずはゆっくり回して回しながら跳ぶという複雑な動作に慣れさせることが大事なので問題ありません。
しっかりと回す感覚をつかめることが重要なのです。その上では布製の縄跳びはオススメなのです。
縄跳びの練習方法と上手な教え方
さて、それでは練習方法と上手な教え方について話していく前に2つだけ注意事項があります。次の2つを守ってください。
- 出来ないことに対して叱らない。励まして出来たら褒める。
- 練習を強要しない。あくまでも子供の自主性に任せる。
子供に縄跳びを教える時の心構え
ジャンプの方法や縄跳びの回し方のコツへ移る前に、子供に縄跳びを教える時に常に意識しておきたい心構えについて解説します。
大人の練習というのは「上達したい」という気持ちが突き動かしますが、子供の場合は上達よりも「褒められたい」や「楽しい」という気持ちが練習する気持ちを湧き上がらせます。
出来なくても叱らないで常に褒める意識
まず出来なくても叱らないでください。ついつい出来ないことに対して大人は怒りがちです。特に自分ができることについてはすぐに怒ってしまいます。それは避けましょう。
叱られることを子供は嫌います。そしてそれによって萎縮してしまい出来かけていたことも出来なくなってしまいます。失敗したらどうしよう...それだけで筋肉は強張り、上手く動かせなくなります。
私たちは大人なんです。大人だからこそ頑張っている子供より音を上げて怒りに任せて叱ってはいけません。
出来ないときは励ましてあげてください。出来たら褒めてあげてください。褒められることを目的にするのは子供の目標設定の教育上あまり良くないのですが、それはそれです。出来たことに対して褒められると、子供はモチベーションが上がり、さらに頑張る糧になるのです。
出来ない原因だけでなく、出来ているところも見つけて褒めてあげてください。跳べるようになったらさらに褒めてあげてください。
練習は子供の自主性に任せる
2つ目は無理はさせないということです。根性論を出すわけではないですが、子供に続ける根性をつけさせる為に嫌でも続けさせる人がいます。ある程度は必要なことだと思いますが、度が過ぎれば子供は練習に対して嫌悪を感じやらなくなります。
これは縄跳びに関わらず、様々な場面で練習をすることを嫌うようになります。挑戦をすることは大切ですが、自主的にやることと無理やりやらせることを履き違えないでください。
練習として出来ないと思ったらその日は打ち切り、また子供の気力が回復したら一緒に練習してあげてください。あくまでも子供のやる気次第で練習をしていきましょう。
どちらも縄跳びだけの問題ではありません。子供のやる気と言うのは大人の一言で大きく変わります。
上述のものはあくまで教育の考え方の1つですが、挑戦をし続ける子供に育てたいのであればどのように言葉をかけなければいけないのか、縄跳びを教えることを通して考えてみてもいいかもしれませんね。
ジャンプの教え方
まずは縄跳びを持たず、ジャンプをする練習をしましょう。実はこれが出来ない子が多いのです。ジャンプと言っても縄跳びで必要になるジャンプは次のようになります。
- 両足で連続して跳ぶ
- その場から前後左右へ移動しないように跳ぶ(その場跳び)
できる人からすれば当たり前のことですが、子供は案外出来なかったりします。まずは教える側がお手本を見せてあげてください。子供は言葉で教えられるよりも、見て経験を通して覚えることが多いです。
両足で踏み切り、空中で足がバラバラにならないようにしながらジャンプする姿を見せてあげてください。動きさえ理解させてしまえばこっちのものです。
それだけですんなりできる子もいますが、不安なようなら両手をとって手つなぎジャンプをしてあげてください。そうすることでリズムが伝わり、連続で跳ぶ感覚なども掴みやすくなります。
その場で跳ぶと言うのもしばらく練習は必要かもしれませんが、何度から練習すればできるようになります。これも手つなぎジャンプをすることで、大きくズレることを減らせます。
リズムの教え方
ジャンプができるようになったら今度は跳ぶリズムを掴むことです。先ほどの手つなぎジャンプでもいいのですが、いつまでも手を繋いでいるわけにも行かないので、自分でできる練習を覚えてもらいましょう。
それが、空中で手を叩く、という方法になります。ジャンプをしている間に手を叩く動作をして見せます。そうすることで子供はすぐに動きを理解するでしょう。
しかし実践するのは子供によってはなかなか上達しないかもしれません。これが縄跳びの不自然で複雑な動作の練習になっているからです。
ジャンプをするのに腕の勢いを使えない、縄跳びに必要な足と上半身の引き上げだけのジャンプを学習してもらうための教え方になります。
この練習が苦手な子には練習に根気良く付き合ってあげてください。ここが縄跳びをできるようになるかどうかの分岐点にもなります。
跳び越えの教え方
さて、縄跳びでは動くロープを跳び越えなければいけません。つまり障害物を跳び越える感覚を養うことが大切です。
そこでまずは動かない物体を跳び越えることから始めましょう。車止めなど少しだけ高さのあるものを跳び越える練習をしていきます。これはそれほど難しくないのでできる子が多いです。
しかし、こんな基本的かつ簡単な練習でも積み重ねることによって意識しなくてもできるようになります。コツコツと積み上げることの偉大さはこのようなところにも出てくるんですね。
縄跳びの回し方の教え方
いよいよ縄跳びを回してみます。この時点で早くも跳べてしまう子もいるかもしれません。そのような子はこのステップは要りません。
そんな器用でない子ももちろんいると思います。むしろ苦手な子ならそこまですんなり行かないでしょう。だからこそじっくり1つずつステップを踏むのです。
苦手と言うことは裏を返せば基本からしっかりと学ぶチャンスがあるというメリットもあるのです。何度も言いますが基本は大切です。すんなり出来てしまうとその基本を疎かにしてしまい、どこかでつまずく可能性があるのです。これは縄跳びだけでなく、勉強や仕事でも同じことです。
さて、では回し方の練習ですが、手首を返さずに回し続けること、を理解してもらうことがここのポイントです。
まずは持ち手のグリップの持ち方を確認してあげてください。初めての子だと特にそうですがグリップを逆に持つ子がいます。考えればその持ち方では回せるわけがないのですが、相手は子供です。考えれば分かるでしょ、は通用しません。論理的な思考は早くても中学に上がってからです。
グリップの持ち方の確認をしたら、まずは片手に両方とも持たせて片手回しをさせてあげてください。出来れば先に利き手で回す感覚を掴ませます。
その後利き手でない方で練習をさせてあげてください。3~4歳くらいで利き手とそうでない手との器用さはかなりの差が出ます。ピアノなど両手を使う習い事をしていれば別ですが、利き手でないほうは不器用になります。両手でしっかりと練習させてあげてください。
前跳びの教え方
いよいよ跳び方の練習です。最初は縄跳びを身体の後ろに構え、腕を上げて縄跳びを担ぐ姿勢から始めます。そしてロープを身体の前に回して、跳んできたロープを跳び越えるという練習です。
これもまずはやって見せてあげてください。あくまでも回して跳ぶという動作の練習です。連続で跳ぶ必要はありません。
また、このとき跳べずに縄跳びが身体の前で止まってしまったら、前進しながらロープを跳び越える方法もあります。もちろんその場跳びでできるのが理想的ですが、まずは跳び越えることを覚えさせましょう。
慣れてきたらこの動作をひたすら繰り返します。あくまでも繰り返しなので連続で跳ぶことはありません。最初の姿勢を作っては同じ跳び方を繰り返します。
このとき注意はジャンプしているときの足がバタついたりバラバラになっていないか気をつけてあげてください。これが直らないと例え跳べても上達しにくくなります。
縄跳び上達のコツまとめ
前とび以外の上達方法も詳しく解説しておりますので、お子様に縄跳びを教える際の参考にしていただけると幸いです。
縄跳びの教え方のコツ
上述した点を丁寧に根気良く教えてあげてください。一緒にやってあげることで子供は楽しんでやれると思います。その時険しい顔はせず、教える側も楽しそうにやってあげましょう。子供は特に大人の顔色には敏感です。
楽しく丁寧に根気良く、が子供の教育には必要なのです。これだけでも何かのきっかけにできるようになる子もいます。しかしなかなか跳べるようにならない子ももちろんいます。そんな子のために教え方のコツをここからご紹介していきます。
子供と一緒に跳ぶ
手つなぎジャンプを先ほどご紹介しましたが、縄跳びをするうえでも一緒に跳ぶというのは効果を発揮します。縄跳びを使った2人跳びが存在します。
これを子供と大人でやってみてください。まずは向かい合い服を掴ませ、大人がロープを回します。子供は後ろ跳びの格好になってしまいますが、ここでは跳ぶリズムを掴んでもらうことが重要です。
慣れてきたら子供に回れ右をさせ、大人に背を向けた状態で跳んでみましょう。今度はロープが見える状態になるので、ロープを視認しながら先ほどのリズムで跳ぶ練習ができます。
子供はロープを回すとジャンプのリズムが乱れてしまうことが多いので、まずはジャンプのリズムをしっかりと覚えさせましょう。手つなぎジャンプもそうですが、一緒に跳ぶことは効果絶大なのです。
ちなみに服を掴ませるとリズムは覚えさせやすいですが、子供は思いっきり引っ張るので伸びてもいいような服でやってください。お気に入りの服でやると子供を怒りのあまり叱りかねません。
大波小波(ヘビとび)をしてみる
よく子供のときに地面にロープを下ろし、左右に這わせるように動かし跳ぶ遊びをしたことはないでしょうか。大波小波、あるいはへび跳びという遊びです。
これを子供とも一緒にやってみましょう。動く障害物を跳び越えるという練習になります。通常跳び手も含め3人以上必要になりますが。片側を何かに結びつければ2人でも可能です。
短縄だと短すぎるので、2本以上の縄跳びを結ぶか長縄でやってもいいです。慣れてきたら這わせるだけでなく振り子のように左右に動かして跳ばせてもいいです。
持ち手に砂を詰めて重くする
回している感覚が掴みにくいという場合は、持ち手を重くする方法もあります。布製の欠点はロープが軽いと言うことです。そのため人によっては空気抵抗だけでは感覚を掴めないという子もいます。
そこで持ち手に物を詰められるタイプの場合、砂を詰めて少し重くしてあげてください。それだけでも回す感覚を掴みやすくなります。先述しましたが速く回す必要はないので、重くても問題ありません。
持ち手に砂を詰められないようであれば、ロープにトイレットペーパーの芯などを通し錘にする方法もあります。これなら当たっても痛くないですし、少しですが重さを与えることが出来ます。回ってくるロープがさらに視認しやすくなる効果もあるので是非試してみてください。