2012年フットサルW杯スペイン対ロシアから学ぶ戦術
ロシアが1次リーグを全体で最多得点で終え、勢いをつけて臨んだ決勝トーナメント。ベスト4をかけて優勝候補のスペインと戦った準決勝は印象的な試合の一つです。そんなW杯準々決勝、スペイン対ロシアからフットサルで重要な戦術を紹介します。
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フットサルで使える攻撃面における戦術の注目ポイント
【前半残り18分50秒】ワンツーの動き
この試合先制点をあげたのはロシアでしたが、そのきっかけとなったプレーです。ワンツーというのは、フットサルの中でも最もオーソドックスな戦術の一つです。
ディフェンダーを抜き去るのには最もシンプルで試合でも使いやすいテクニックでしょう。フットサルにおけるワンツーは、ピッチが狭いので強さと正確性に注意する必要があります。それでは実際に試合で使われたワンツーを見てみましょう。
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手前のエリアでキープしていた選手(青丸)から、反対サイドでフリーの選手にボールが出ます。この時に注目なのは、水色の丸で囲まれた選手となります。そしてこの選手のオレンジのスペースを意識した動きが重要となります。
反対サイドからパスを貰った選手(青色丸)はオレンジのスペースを活かす動きを考えます。そこに先ほどの画像で水色の丸で囲まれた選手が同スペースへ入ってきます。そして即座にその選手に対してパスをします。
スペースに入ってパスを受けた選手(水色丸)は縦に抜けた選手へリターンパス。
リターンパスを貰った選手はそのまま切れ込みシュートへとつなげます。ブロックされコーナーキックとなりましたが、抜けた先にはディフェンダーがいないので、大きなチャンスへとつながりました。
ディフェンダーも後ろからブロックしにいく形になっているので、もしかするとファールへになってしまった可能性もあったと言えるでしょう。いずれにせよ、ディフェンダー陣がワンツーによって崩され大きなピンチを迎えたと言えます。ちなみに、ロシアはこの直後のコーナーキックから先制点を奪いました。
フットサルで使える守備面における戦術の注目ポイント
【前半残り8分38秒】1対2のカウンターに対する守備の動き
フットサルにおいてカウンターアタックというのは非常に有効な武器と言えるでしょう。逆を言えば、ディフェンス側にとっては失点の危険性がかなり高い場面とも言えます。
特に1対2のカウンター、つまりディフェンスが一人になってしまう場面と言うのは、フットサルにおいてはカウンターの場面において最も多いケースと言えるでしょう。このスペイン対ロシアの試合の中では、1対2のカウンターを受けてしまう場面で、スペイン側が見事に失点を防いだ場面があるので紹介します。
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まずボールを保持している選手が前線へ浮玉のパスを出そうとしているところです。狙っているのは、最前線のオレンジのスペースでしょう。
しかし、最後方に居た選手(ピンク丸)にヘディングで返されてしまい、赤丸の選手と、青丸の選手の間にボールがこぼれてきました。この時点で青丸の選手の後方にはディフェンダーは一人しかいません。
このルーズボールの競り合いを赤丸の選手が拾い、黄色丸の選手にボールが渡ります。この瞬間に残されたディフェンダー一人と、攻撃二人の状況、すなわち1対2のカウンターの場面ができあがることになりました。ここから、一人のディフェンダーはどのようにして守備をしたのか見てみましょう。
まずここで重要なのは、黄色丸の選手に対して、適度な距離を保っていることです。中央に走り込んでいる選手(赤丸)へのパスコースを消しながら、飛び込まずに間合いを保ちます。こうして、味方選手(青丸)の戻りを待つか、ゴレイロ(キーパー)を入れて2対2ができるのを待ちます。
数的に同等になった段階で奪いに行くチャンスをうかがうようにすることが重要です。むやみに飛び込むと横パス一本で決定的なチャンスを作ってしまうので注意しましょう。
結果的には青丸の選手が戻り、ゴレイロもいる状況となり、さらにそれまでにサイドに追いやることでチャンスをつぶすことに成功しました。
このように、まずはあわてずに時間を稼ぐことが大切です。ピンチの時こそ冷静にその場の状況を判断できるようになりましょう。