2012年フットサルW杯スペイン対ブラジルから学ぶ戦術
2012年にタイで行われたフットサルW杯決勝から参考になる戦術を紹介します。決勝は欧州競合のスペインと連覇をかけたブラジルの決戦となり、非常に白熱した試合となりました。ブラジル対スペインの決勝戦から、攻撃面と守備面における戦術について解説していきます。
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フットサルで使える攻撃面における戦術の注目ポイント
【前半残り19:05】エイトの動き
フットサルの攻撃面の組み立てを行う戦術の一つであるエイトの動きが、フットサルW杯の決勝という舞台でも使われていることがわかります。
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フィクソの位置にいるボールを持った選手がパスの出しどころを探しています。この時前方のピヴォの選手はスペースへ走り込む動き出しをしました。しかし矢印部分のパスコースは塞がれており(赤バツ印)出すことができません。ここからエイトの動きが始まります。
ボールを保持していた選手はピヴォへのパスを諦めサイドの選手へパスをします。そしてパスを出した選手は前方のスペース(青丸部分)へ抜けの動きをします。そうなるとパスを受け取った選手は一人孤立することになるので、反対サイドの選手がフォローのために(赤丸部分へ)戻ります。
この時に最初に動きだしたピヴォの選手は、パスを出した選手の抜けの動きとかぶってしまうので、反対サイドへ流れる動きをします。
ピヴォの選手の反対サイドへ流れる動きによってピヴォ当てを狙うことも可能(矢印2のコース)となります。しかし、一つ前の画像でフォローに下がった選手へ、マークがついてこなかったため、ピヴォ当てを行うパスコースが生まれませんでした。(赤バツ印)ここで最初にパスを出して抜けの動きをした選手へボールが出れば(1の矢印)、パラレラの動きとなります。
しかしここはパラレラ(一つ上の画像のパスコース1)を選択せずに、フォローへ下がった選手へパスをします。そして青のスペースへ抜けの動きを行い、パスを受けた選手が孤立しないよう、反対サイドの選手が、フォローの動きによって(赤丸部分へ)下がってきます。
そしてパスを受けた選手は、フォローへ下がってきたプレーヤーへパスを行いました。これら一連の流れがエイトの動きになっています。
フットサルで使える守備面における戦術の注目ポイント
このゲームで印象的だったのは、スペインの前線からの守備でした。スペインのこの守備によって、ブラジルは前半まともに攻撃することもままなりませんでした。フットサルの守備の戦術においてどこからプレスをかけるかというのは非常に重要です。
このラインを曖昧にしてしまうと、前線と後ろの選手の間にスペースができてしまい、そこを突かれて攻撃されてしまうという問題が起こってしまいます。よって、必ずどのラインからプレスをかけるかを決めておくべきと言えるでしょう。今回のスペインのプレスは比較的高い位置(相手ゴールに近い位置)から行われていました。
【前半残り17:15】前線からのプレス
スペインの攻撃からブラジルの攻撃に変わり、ゴレイロからスローインされた後の動きです。
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ゴレイロのスローインがブラジルの選手に渡る前の時点ですが、すでにこの時点でスペインの守備のプレスラインは相手陣内にあります。
しかもこのラインはハーフラインよりもかなり入り込んだところであり、この画像には映っていない選手がもう一人、ゴレイロからスローインを受ける選手に早くもプレスをかけにいこうとしています。
ピンク丸の選手が即座にプレスをかけにいった選手です。この時点で青のラインにプレスラインが設定されていて非常に高い位置です。反対サイドにブラジルの選手がいますが、パスコースは封じられています。(赤バツ印)
結果として手前の選手は強引にドリブルをしかけ、タッチラインを割り、スペインボールとなりました。例え抜かれていても、即座にフォローに行く選手がいる上、反対サイドもピンク丸の選手がスペースとパスコースを切るポジショニングをしています。