2012年フットサルW杯パラグアイ対ポルトガルから学ぶ戦術
南米の強豪パラグアイと、リカルジーニョ率いるポルトガルの対戦となった2012年W杯決勝トーナメントの一回戦。ポルトガルが2点を先制するも、パラグアイの気迫あふれるプレーが印象的な試合でした。そんなパラグアイ対ポルトガルの試合から、フットサルで大切な戦術の紹介です。
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フットサルで使える攻撃面における戦術の注目ポイント
【前半残り8分33秒】ファー詰め(セグンド)の動き
フットサルの攻撃戦術の中で最も基本と言えるのが「ファー詰め」でしょう。どんなチームにおいても必要とされるものであり、得点チャンスを確実に得点に繋げるために必須となります。プロレベルにおいても当然のように使われる動きであることを、この試合でも確認することができます。
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お手本のようなファー詰めは、ポルトガルがこの試合の先制点を奪ったシーンでうまれました。味方のバックパスをフィクソの位置で貰った選手(青丸)が再度へ開いている選手へパスをします。
ボールをもらった選手はオレンジのスペースを活用しようとドリブルを開始しますが、ディフェンダーが一人います。ここで一旦味方にボール預け、パスによって崩しスペースを使うという方法もありますが、この場合近くに味方がいないので、個人技による突破を試みます。
本来むやみな突破によるボールロストは大きなピンチを招く場合がありますが、この場合は後方にフォローしてくれるプレーヤーが二人(青丸)いるので仕掛けていっても問題ありません。
1対1を仕掛けた結果ディフェンダーを抜き去り大きなチャンスがうまれます。中央で逆サイドをケアしていたディフェンダー(ピンク丸)がカバーリングのためプレッシャーをかけてきます。
しかしそれによって、逆サイドのスペースが大きく空き、フリーの選手(オレンジスペース内の選手)ができました。ボール保持しているプレーヤーはその逆サイドへ強めのボールを打ちます。
後はシュートするだけですね。実際にゴールとなりました。ラストパスを出した水色の選手も、最初に起点となった青色の選手も詰めておけば、仮にキーパーにはじかれたとしても得点できるチャンスは続いたと言えるでしょう。
フットサルで使える守備面における戦術の注目ポイント
【後半残り5分6秒】安易にボールを取りに行ってしまう動き
フットサルはサッカーに比べコートが狭く、一人のミスが命取りとなる場面が多くあります。特にディフェンスにおいては、安易に足をだすことによって抜かれてしまうということは、あっという間に数的不利を作られ、その隙をついて得点を奪われてしまうことへとつながります。今回のポルトガルの失点もそのような状況において生まれました。
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相手キーパーからのスローで直接相手ピヴォ(青丸)へとボールが入ってきました。この時、ディフェンスにいるのは、マークについている選手(ピンク丸)だけです。もしもこの選手が抜かれてしまったら後はキーパー(ゴレイロ)しかいません。
他のディフェンダーが戻ったとは言え、無理して取り行った結果…
裏には大きなスペース(オレンジ丸)があることに加え、数的不利の状況ができてしまいました。一見攻撃側は間に合っていないように見えますが、両サイドは走り込んできている状況であり、裏のスペースに飛び込もうとしているので、ディフェンス側にとっては非常に不利です。ここから実際にスペースへボールを出されてしまい…
このような状況からディフェンダーが一人(ピンク丸)カバーリングにくるも…
結局は交わされてしまい、決定的な状況が生まれてしまいました。この後は中央へ折り返され失点してしまいます。最終的には人数は足りているように見えますが、一度作られた数的不利からディフェンスが崩されてしまい、マークがずれることで失点につながってしまうのです。
フットサルにおいて安易に飛び込んでいきボールを奪いに行く場合には、周りからの確実なフォローや、確実にボールが奪えそうなどの正確な判断力が必要となります。