2012年フットサルW杯イタリア対スペインから学ぶ戦術
2012フットサルW杯では1次リーグを無敗で通過し、決勝トーナメントではポルトガルを撃破。そんなイタリアが、優勝候補であるスペインと対戦したのが準決勝です。この準決勝から、攻撃、守備におけるフットサル戦術のポイントを紹介します。
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フットサルで使える攻撃面における戦術の注目ポイント
【前半残り18:26】サイドに流れたピヴォ当ての動き
フットサルの攻撃においてピヴォ当てというのは最も基本的な攻撃方法の一つです。ピヴォは攻撃の起点となるために、後ろで回したボールを一旦前線のピヴォに預け、そこから攻撃を展開していくこととなる場合が多くあります。
今回紹介するのは、そのピヴォがボールを受ける位置がサイドだったパターンです。
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まずゴレイロからフィクソにいる選手に渡ったボールを、同選手が中央付近に向けてドリブル、その後、サイドの選手に一旦預けるようにパスをします。これによってイタリアの選手がパスをされた選手に向かってプレスをかけに行きます。パスを出した選手は、ここからエイトの動きをしかけるような動き出しをします。
しかしここでその動きを察知したイタリアのディフェンダー(ピンク丸)の選手が、下がり気味のポジションを取ったところでパスを出した選手(青丸)が、突然ストップし再度ボールをもらう動きに入ります。
この時点で、相手陣内中央に位置していたスペインのピヴォがサイドへ流れ始めます。青丸の選手はここで味方ピヴォの動きを確認し、再度ボールを受けにいきます。
再度ボールを受けた選手(青丸)はそのパスをダイレクトでサイドへ流れたピヴォへ。抜けの動きを警戒していた選手(ピンク丸)はプレスが遅れパスコースを切れません。ピヴォヘパスを出した選手はそのまま前方のスペース(赤丸)へ流れます。
前方ではピヴォがサイドに流れることにディフェンダーを引き連れてできたスペース(赤丸)へ、さきほどピヴォへパスをした選手(水色丸)が走り込んでいき、ピヴォからのリターンパスを貰いに行きます。
もともとマークについていたディフェンダーの選手(ピンク丸)は追いつけず、走り込んだ選手の前方にはゴレイロしかいない状況、つまり大きなチャンスを作ることができました。これがピヴォ当ての一つのパターンです。
フットサルで使える守備面における戦術の注目ポイント
【前半残り18分06秒】パスコースを切る動き
この日のイタリアは、とにかく中への侵入を警戒していました。そのため、ディフェンスはかなりコンパクトに中を絞る形をとっています。
オフェンスを外へと追いやることで決定的なチャンスを作らせないようにしていました。その中で、しっかりとパスコースを切っている場面があります。
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フィクソの位置から再度へとパスをした場面からです。この時点でもイタリアディフェンダー(ピンク丸)は無理にプレスをかけていません。相手の侵入を警戒するように距離をとってディフェンスをしています。
パスが渡ってからの図ですが、スペインのオフェンスはほぼ二人しか映っていません。前線の二人も真ん中のスペースを潰しにきています。ここでスペインのピヴォ(青丸)が真ん中のスペースに入り込もうとする動きをみせます。
この時点でボール保持者はピヴォ当てをするか(パスコース1)、もしくは縦にボールを出し、ピヴォを走らせるか(パスコース2)があります。ディフェンダー(ピンク丸)はピヴォ当てを警戒してパスコース1を切りに行きました。
結果として、ピヴォ当てを狙ったパスはカットされることとなります。今回のようにパスコースというのは、複数選択肢がある場合が多く、どれかだけは絶対に防いでおきたいというパスコースを切ることが重要となります。
チームによってその方針は変わってくると思いますので、しっかりと話し合い、優先順位を決めておいた方が守りやすいと言えるでしょう。