ドローンの遠隔操作と自律運転
ドローンはラジコン的な側面の強い遠隔操作が話題になることが多いですが、自律運転の分野でも非常に注目されており、物流分野などで今後の活躍が期待されています。そんな自動運転技術の歴史と今後の展望について、飛行機や車の研究を含めてご紹介します。
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自動運転とは?
ドローンの飛行は大きく分けて「遠隔操作」と「自律飛行」があります。我々一般ユーザーからはラジコン的な側面の強い「遠隔操作」が注目されることが多いですが、産業的な分野からは自律飛行が注目されています。
ドローンの自律飛行という自動運転が実用化すれば、物流分野に革命がおこると言われています。実際に実用化されたドローンの自動運転の例もあります。
福島第一原発事故における汚染区域の空間線量の測定にドローンが用いられました。ドローンに搭載されたGPSによる位置情報と線量の測定値をリンクさせた自律運転ドローンが活躍しました。
飛行機の自動運転
飛行機の自動運転には、以下の3つの種類があります。
- ラジコン方式
- 自律航法
- オートパイロット
「ラ ジコン方式」とは、操縦者が乗らずに遠隔操作を行う飛行機の自動運転の方法です。次に「自律航法」とは操縦者が乗らずに、飛行機の機器だけで目的地まで飛 行する自動運転方法です。最後の「オートパイロット」は、操縦者が乗って、操縦を行わない自動運転です。飛行機の自動運転はこのうち「自律航法」と「オートパイロット」が主流となっています。
飛行機の自動飛行にも歴史があり、20世紀の初頭までは推測航法という、風の向きと速度によって位置を推測する方法が用いられていましたが、現在ではほとんどがGPSが用いられています。
GPSは、人工衛星と受信機との間の距離を測定することによって現在地を計算することが出来るので精度が非常に高く、高速で移動する飛行機でも使用できることから急速に普及しました。
飛行機の自律飛行で最もポピュラーなオートパイロットは、加速度計やジャイロスコープなどの各種センサーを用いて気体の状態を把握し、状況に応じて方向舵や補助翼などを自動で操作するシステムのことです。
車の自動運転
自動運転が最も期待されているのは車です。車の自動運転は、ルートを指定すれば目的地まで自動で辿り着くことを目的としています。しかし、技術的にも法律的にもハードルが高い一般道での自動運転の実用化はもう少し先になりそうですが、高速道路における自動運転と駐車場内などの特定の場所での自動運転は実用化までもう少しのところまで研究が進んでいます。
車の自動運転にはGPSとレーダーが主なセンサと して利用されています。レーダーにはレーザ・レーダーやミリ波レーダーが使用されていることが多いです。これらのセンサによって得られる情報が車の自動運 転の基礎となっていますが、自転車や歩行者、バイク、車いす、野良犬や野良猫などさまざまなものが行き来をする一般道での自動運転は乗り越えるべきハード ルが多く、実用化のめどはたっていません。
しかし、それらの障害が限定される高速道路での車の自動運転は、一説には2020年代にも実用化されると言われています。
自動運転の歴史
無線通信を用いた遠隔操作は、19世紀末に活躍した天才「ニコラ・テスラ」が最初だと言われています。ニコラ・テスラは発明王エジソンと同時代に活躍した人物であり、様々な発明品でエジソンと競い合った人物としてあまりに有名です。そのニコラ・テスラが、模型の船や飛行船を無線によって遠隔操縦したという記録が残っています。
また、無線を使わない方法での自動操縦としては、第一次世界大戦中に米国陸軍が開発した「ケタリング・バブ」が最初だと言われています。このケタリング・バブは、ジャイロスコープを用いて目的地に自動で到着する無人航空機でした。
その後、無線操縦の技術は発達し、小型の飛行機や飛行船の無人飛行が実用化し、第二次世界大戦後は趣味の分野でラジコンとして人気を博しています。
目視による確認が不要な自律操縦型も技術が進歩しましたが、飛行機などの乗り物ではなくミサイルなどの兵器を主な用途とされ、盛んに開発されました。特に1980年代に開発されたGPSによってその制度が大きく高まりました。
GPSと同様に軍事利用が目的に開発された自立運転ですが、1980年代からは商用にも用いられ始め、日本でもヤマハから農薬散布用の無人ヘリコプターが1988年から販売されています。
このように自動運転の歴史は「無線による操縦」と「自律運転」という2つの側面から進歩してきました。