スピーカーケーブルの選び方とアンプとの接続方法
音声を出力するためにスピーカーは必須となりますが、その音質を決めるのはスピーカーだけではありません。機器と接続しなければいけない以上スピーカーケーブルも音質に影響してきます。
また音響を大きく迫力あるものにするためにはアンプも必要とあり、その接続方法は正しく行わないと効果を得ることは出来ません。
スピーカーケーブルの選び方はスピーカー本体よりご存知の方は少なく、アンプを使用する方も多くありません。こだわる方はご存知だと思いますが、知らない方も多いと思うので、こちらではスピーカーケーブルの選び方とアンプとの接続方法をご紹介していきます。
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スピーカーケーブルとは?
そもそもスピーカーケーブルとは何なのか、ご存知の方もいると思いますが、知らない方のためにご紹介させていただきます。
とは言うものの名前の通り、スピーカーに使用するケーブルです。もう少し具体的に言うと、アンプなどの機器とスピーカーを接続するためのケーブルになります。
スピーカーは電気信号を受け取り、それを振動に変えて空気を振動させて耳に音を伝えてくれるのですが、そのためには電気信号を送ってもらうケーブルが必要となります。
多くは有線で接続するため、機器とスピーカーを繋ぐスピーカーケーブルが必須となるのです。
ただスピーカーケーブルであれば何でもいい、と言うわけではありません。プラグの形状やケーブルの長さはメーカーなどによって様々な違いがあります。
そのため選ぶ際には、適したスピーカーケーブルを選ぶ必要があります。またケーブルの役目は電気信号の伝送であり、良いスピーカーケーブルとは機器からスピーカーに送る電気信号の伝送ロスの比率を小さくするものになります。
スピーカーケーブルとラインケーブルとの違い
スピーカーケーブルと似たようなものでラインケーブルが挙がりますが、これらには明確な違いがあります。
まずラインケーブルは小電力の伝送を目的として作られた細い芯導線であり、それを網線で取り巻いて絶縁体のシールドで覆った構造となっています。
キーボードやシンセサイザーの出力、ミキサーなど最大でも1W程度までの電力しか取り扱えないケーブルとなります。
それに対してスピーカーケーブルは数十Wから数百Wまで伝送できるケーブルであり、絶縁体で覆った導線を束ねることで太く、そして長く作られています。
プラスとマイナスも明白であり、信号レベルも高いためノイズも発生しにくくシールドで覆う必要もないのです。
これを利用してアンプなどの機器とスピーカーを繋ぐことで、きれいな音の電気信号を伝送することができ、そのロスも少なくなるのです。
もしラインケーブルを代わりとして接続した場合、伝送できる電力の違いで故障を起こす原因となるので、注意してください。
スピーカーケーブルの選び方
そんなスピーカーケーブルですが、店頭やネットで探すと数もあり、商品選びに悩んでしまうこともあると思います。そこで選びやすくするためにもいくつかのポイントをここでおさえておきましょう。
- ケーブル端子の形状
- ケーブルの素材
主にはこの2つになります。端子の形状により音質や使い勝手が変わってきますので、選ぶ上ではかなり重要なのです。それではそれぞれのポイントについて詳しく見ていきましょう。
スピーカーケーブルの端子形状の違い
先ほども触れましたが、スピーカーケーブルには様々な端子が存在し、これは音質に大きく関わります。
こちらでは代表的な端子を挙げ、その端子の違いについてご紹介していきます。
端子なし
端子なしのスピーカーケーブルはアンプやスピーカーを購入した時に付属でついてくるケーブルです。
覆っているカバーを少し剥いで中の素線を出し、それをスピーカーの端子に巻き付けて留める、あるいは差し込んで留めるのですが、素線が外気に触れたままなので酸化し、電気信号の伝送率が悪くなります。
また素線は1本1本が細く、バラけることが多いため取り付けも面倒で、しかも取り付けそこなった数本がショートの原因となってスピーカーを壊しかねないため、付属品だからと言ってそのまま使うのはおすすめできません
Y端子(U端子)
ケーブルの先端にY字の端子が付いているスピーカーケーブルです。スピーカーの接続部にこのY端子を挟み込んで固定するので取り付け自体はそれほど面倒ではありません
ただしスピーカーの接続部分をしっかり締めたつもりでも実際には完全に留まっていないことが多く、いつの間にか緩んでいたという事もあります。
またこのせいで端子同士の接地部分が少なく、音質もそれほど良くはないのが現状です。Y端子の素材が柔らかいものであれば、多少は改善されますが、硬いものであれば接地は悪いままです。
端子なしに比べると劣化も少なく、ケーブルを良い状態で使えるのはメリットなのですが、音質を考えればあまりおすすめは出来ない端子です。
バナナプラグ
端子の形状がバナナに似ていることからこの名が付けられています。抜き差しだけで簡単に接続でき、安定性に優れた機能的な端子として人気が高いです。
また端子同士の接触によりショートを起こす心配も少ないというメリットもあります。接地面積も360°接触しているため、音質としても比較的良いとされています。
ただし取り付けやすさの関係で引っぱれば簡単に抜けてしまうこと、そして長期間の使用で端子のバネが徐々に緩くなって抜けやすくなってしまうことがデメリットとなっています。
フォーンプラグ
フォーンプラグも抜き差しだけで簡単に接続できるため、頻繁に抜き差しを繰り返す場合に使われるプラグになります。
スピーカーよりもアンプとベースなどの接続に使われることが多いプラグになりますが、もちろんスピーカーケーブルにも採用されています。
ノイズが比較的少なめであり、劣化もしにくく360°の接地面積によって音質も良いのですが、フォーンプラグはラインケーブルにも同じ形状が採用されているため、注意しないと取り違えることがあるのがデメリットです。
またショートをする可能性もあるため、接続する機器によっては大出力の伝送に耐えられないこともあるため気を付けてください。
スピコンプラグ
アンプなどの機器とスピーカーとの接続ではよく使用されるのがこちらの端子になります。
それならば端子なしではなく、こちらの端子のケーブルを入れたらいいのではないか、と疑問に思われる方もいるかもしれませんが、コスト削減などもあるのでしょう。
上記のフォーンプラグと比べて大出力にも耐えられるので、ショートを心配する必要もありません。また確実な着脱を簡単に行えることから、誤って抜けるなどのトラブルが少ないのもメリットです。
もちろん酸化による劣化も少ないため、音質にも優れていると言えます。正直、スピーカーケーブルの中ではかなりおすすめの端子となります。
スピーカーケーブルの素材の違い
スピーカーケーブルの良し悪しは端子だけで決まるものではありません。電気信号を伝送する以上、当然そこを通るケーブルの素材でも決まります。
化学的な話もあるため、少々専門的ではありますが、出来るだけ掻い摘んで、それぞれの特徴を簡単にご紹介したいと思います。
銀線(Ag)の特徴
銀は金属の中でも電気抵抗率に優れた素材です。そのため電気信号を最も伝送ロスを少なくしたまま送ることができます。
最近では4Nagという素材も開発され、より理想的なスピーカーケーブルとなりました。ただし銀はレアメタルであり、価格が高めになってしまうのがネックで、高級ケーブルに採用されています。
ちなみにこの4Nと言うのは純度の高さを「9」の個数で表しており、この場合は銀の純度は99.99%(9が4つ)であることを示しています。
銅線(OFC)の特徴
銅線は銀の次に電気抵抗率に優れており、銀より安価なのが特徴の素材です。そのため商品の中でも比較的採用されやすい素材でもあります。
ただしいくつか種類があり、安価なケーブルに採用される銅はTPCと言われる純度99.5%程度のものになります。
それに対してこのOFCは不純物などを取り除き、99.995%の高純度にした銅になります。その分やや高級なケーブルに用いられ、解像度が高く切れがいい音質を生み出す素材となっています。
このOFCは他にもHi-OFCやLC-OFCと言ったものも存在します。
Hi-OFCは格子欠陥と呼ばれる組成の乱れを出来るだけ除去し、電気信号となる電子の流れをスムーズにしたことで、歪みが少なく自然と澄んだ音質が特徴となります。
一方LC-OFCはOFCの結晶を線方向に大きくなるよう製造されており、1m当たりの結晶数は20個程度で抵抗がさらに少なくなっています。
これにより音の立ち上がりが鋭く、大迫力の音質を楽しむことができる素材となっています。
ただしいずれも銀ほどではないですが高級なため、値が張ってしまうのはデメリットです。価格を気にするならTPC、音質重視ならOFCを選ぶことになるでしょう。
6Nや7Nの特徴
銀で4Nagについて触れていますが、6Nや7NはOFCの純度に存在します。この純度は6Nが99.9999%、7Nが99.99999%で限りなく不純物を排除した高純度のOFCを表しています。
最高で8Nまで実現化されており、それ以上は硬さの問題で存在しませんが、純度が高いほど落ち着いた暖かい音質を再現してくれます。
ただし上記のOFC以上に価格が高くなるのがデメリットではありますが、音質重視ならこちらも視野に入れる必要があります。
単線の特徴
スピーカーケーブルは大抵の場合複数本を撚る形で1本の導線を作っていますが、単線は1本のみの導線で作られたケーブルになります。
この場合、上記のOFCやTPCを単線で用いているFケーブルなどを指しますが、スピーカーからの音離れが悪くてうるさいというデメリットがあります。
しかしこのうるささは音がひとまとまりになって前に出てくるためであり、これを音圧として好む方もいらっしゃるため、いわゆる「音圧マニア」の方々にはおすすめの素材になります。
アンプとスピーカーの接続方法と注意点
さて、そんなスピーカーケーブルを用いてアンプとスピーカーを繋ぐ、となったとき知識が無ければ適当に接続する方もいらっしゃいますが、これは故障の原因にもなり兼ねません。
正しく接続する方法がありますので、注意点と共にご紹介していきましょう。
- +と-の極性に気を付ける(正相接続)
- LとRに気を付ける
- 結線の仕方
- ヒゲの扱い
- 端子を綺麗に保つ
ポイントとしては上記の通りです。それぞれのポイントについて見ていきましょう。
+と-の極性(正相接続)
スピーカーケーブルとラインケーブルの違いでも触れましたが、スピーカーケーブルにはプラスとマイナスが存在します。
またスピーカーとアンプにもそれぞれプラスとマイナスがあり、これを一致させる必要が出てきます。
正しい接続を行えば音像が正しく描かれ、本来のバランスの取れたステレオ再生が可能となりますが、これを逆に接続すると左右の音が相殺されるようになってしまうため、中抜けをした気持ち悪い音になります。
音は波形であり、位相がずれてしまうとお互いに打ち消し合ってしまいます。正しい接続を行えば、その位相がズレることなくきれいに調和するので美しい音を楽しめるのですが、逆にしてしまうと位相がズレるので特定の音を相殺して、部分的に音が残ってしまうのです。
必ず接続する電極は間違えないよう、よく確認して接続を行うようにしてください。
LとRの接続
上記のプラスとマイナスを一致させることは重要ですが、L(左)とR(右)を一致させることももちろん重要です。
これも正しく接続すれば位相も合い、きれいなハーモニーとなりますが、逆にしてしまうと同じように相殺が起こり、音の所在が定かではないバラバラ感を感じることでしょう。
プラスとマイナス、そしてLとRでバランスを取っているので、こちらも接続時にはしっかりと確認をして、繋ぐ必要があります。
結線の仕方
端子が無い場合は結線で繋ぎますが、こちらも注意が必要です。結線をする場合、末端の被覆を剥いて、プラスとマイナスの導線を取り出します。長すぎても短すぎても良くないので、3~4cm程度剥いてください。
これをスピーカーの端子に巻き付けるのですが、巻き付けた後、ネジを回して固定します。ネジは基本的に右回しで締めるので、結線も時計回しに行ってください。
逆向きに結線するとネジで固定する際、結線が緩んでしまうことがあり、ヒゲが出てきてしまうことがあるので、向きは間違えないようにしましょう。
ヒゲの扱い
上記でもヒゲについて出てきましたが、ヒゲは複数本撚られてできた導線がバラけて一部がはみ出したものになります。
このヒゲはそのままにしておくと、ヒゲ同士が接触してノイズが出るなど音がおかしくなるほか、プラスとマイナスヒゲが接触してショートする恐れもあります。
アンプであれば保護回路が働いてシャットダウンするなど、故障の原因にもなるため、ヒゲははみ出ないようにしっかりと撚って、結線するようにしましょう。
どうしてもはみ出してしまうものはペンチで切ってしまうのも手ですが、出来る限り固定された内部に納まるようにしてください。
端子を綺麗に保つ
以外と行われないのが端子の清掃です。当然埃などが溜まりますので、汚れます。汚れをそのままにしておくと、音の通りが悪くなってしまうため、クリーナーなどをつかって定期的に綺麗にしてあげてください。