無指向性?単一指向性?マイクの指向性の種類や特徴
「ライブ会場でもっと良い音で歌いたい!」「自宅でもっと良い音で録音したい!」など悩んでいる方も多いと思います。
「マイクの性能が悪いから」「録音する環境が悪いから」などを理由に諦めてしまっている場合も多いと感じます。
実は、マイクには音を感度よく拾えるポイントが存在するのです。これを理解すれば、雑音を減少させて歌声をワンランクアップすることが可能になります。今回は、そんな「マイクの指向性」の種類・特長について詳しく紹介します。
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マイクの指向性とは?
マイクのスペックを最大限に生かして、良い音を拾うためには「指向性」を知ることが大切です。
マイクの指向性とは、マイクがどの方向からの音をはっきりと捉えるか、感度よく拾えるかという特性のことです。人間が聴きたい音の方向に耳を向けるのをイメージするとわかりやすいと思います。
声や楽器などの捉えたい音をしっかりと拾って、雑音やハウリングなどのいらない音はできるだけ入らないようにしたいですよね。良い音を拾えるマイクのベストな使用方法は、指向性の違いによって変わってきます。
それぞれのマイクの指向性を知れば、マイクのパフォーマンスを充分に発揮することができます。マイクの指向性はミュージシャンにとって必須の知識なので、まだよく知らないという方は是非、本記事を読んで理解して下さいね。
マイクの近接効果とは?
「近接効果」とは、音源がマイクに近づけば近づくほど低音域が強調されるという現象のことです。これは、単一指向性のマイクに起こる現象で、無指向性マイクには発生しません。
低域が強調されすぎると、音がこもった感じになり、クリアな音で拾えなくなります。そのため、多くの単一指向性マイクにはこの「モワッ」とぼやけた感じを取り除く効果が備わっています。カラオケなどで何気なく単一指向性マイクを使っていても、近接効果を感じることは少ないと思います。
また、プロのボーカルの方になると低音を強調して歌いたい場合に、マイクに近づいて歌うというテクニックもあります。近接効果をうまく利用した例ですね。
無指向性マイクは、まわりの音を均等に拾うのでこの近接効果が起こりません。気にせずに音源を近づけることができます。
マイクの指向性の種類
マイクの指向性は、大きく分けて以下の3種類があります。
単一指向性のマイクは、一つの方向から音を捉える事を得意としているマイクです。このマイクは、様々な種類が存在するので、それは後ほどご紹介します。
無指向性は、全ての方向からの音を均等に捉えるマイクです。そのため、全指向性と呼ばれることもあります。
双指向性は前と後ろの二つの方向からの音を捉えるマイクです。2つの音を同じように拾いたい対談などで活用されてきました。
この3つの指向性の違いは構造の違いによるもので、向いている使い方や特徴について、詳しくご説明していきます。
単一指向性マイクの特徴
単一指向性マイクは、特定の方向に対しての音を捉えやすくなっているマイクです。カラオケやライブハウスなどで使われているマイクの多くは、この単一指向性マイクです。
マイクの正面の音をよく捉えて、周りの余計な音は拾わないという特徴があります。そのため、バンド演奏などでまわりの音が大きい場合でも、ボーカルの音をピンポイントで捉えることができるのです。
単一指向性マイクの中でも、以下の4つの種類があります。
・カーディオイド
・サブカーディオイド
・スーパーカーディオイド
・ハイパーカーディオイド
カーディオイドとは、「心臓形」という意味を持っていて、数学の方程式のひとつとしても知られています。これは、マイクの単一指向性のパターンをあらわしていて、サブ・スーパー・ハイパーはその特性の強さをあらわしています。
カーディオイド
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単一指向性のパターンの中で一番よく使われているのが「カーディオイド」です。
音を拾う感度が、マイクの正面が最も高く、背面からの音は低くなります。指向性の感度が正面が膨らんで、背面がへこんでいるような形になる「心臓型」に由来しています。ハウリングが起こりにくいことが特徴です。
カーディオイドが音を拾う角度は131度と広めなので、ビートルズのように2人でマイクに歌ってもしっかり音を拾ってくれます。音を拾う角度が広いので、ライブの際にマイクを固定せず、激しく動きながら歌う場合でも、しっかり音を拾うことが可能です。
また、ドラムやアンプのレコーディングなど、様々な場面で使用できる使い勝手のよいマイクです。
サブカーディオイド
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「サブカーディオイド」はカーディオイドよりも広い指向性を持っていて、「ワイドカーディオイド」とも呼ばれます。多くの音を拾える分、ハウリングは起こりやすくなります。
広くフラットにナチュラルな音を捉えられることが特徴です。無指向性に近いため近接効果が少なく、声だけでなくさまざまな楽器のレコーディングに使うことができます。
スーパーカーディオイド
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「スーパーカーディオイド」はカーディオイドよりも音を捉える角度がせまく、横からの音を拾いません。ただ、マイクの後ろからの音は、カーディオイドよりも少し拾いやすくなります。
周囲の音や近くの楽器の音を遮断する効果が高いので、ハウリングが起こりにくいです。その分、マイクの正面をしっかりと意識する必要があります。そのため、ライブのパフォーマンス等で激しく動きまわる方にはあまりおすすめできません。
音を大きくしてもハウリングが起こりにくいので、ボーカルの繊細な音まで表現できます。ギター・ベースなどのアンプの上から、ピンポイントで音を捉えることにも向いています。
ハイパーカーディオイド
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「ハイパーカーディオイド」はスーパーカーディオイドよりも音を捉える角度が特にせまくなっています。横からの音を遮断する効果はかなり高いです。ただし、後ろからの音は拾いやすくなっているので、前と後ろからの音を拾う双方向性マイクの性能が少し備わっています。
ハウリングにとても強く、スーパーカーディオイドよりもさらにまわりの音を拾いづらいです。
話す方の真横に音量の大きいスピーカーが配置されるような、講演会場などでの利用にオススメです。
無指向性マイクの特徴
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無指向性マイクは、まわりの音をすべて同じ感度で捉えます。指向性は、360度のほぼ丸のような形をしており、マイクの前方・後方・側面のすべての音を均一に捉えます。
テーブルを囲んでミーティング・会議などで、それぞれの方の声を拾うことができます。見かけることが少なくなりましたが、テープレコーダーにもこの無指向性マイクが多く使われていました。
また、大きなホールやスタジオの「部屋鳴り」と呼ばれる間接的な音や、ドラムの生の響きを捉えた音の録音などに使われます。無指向性マイクを使いこなせれば、一流のエンジニアといわれることもあるようですね。
周囲の音をまんべんなく拾うので、ライブなどでの使用にはハウリングが起こりやすく向いていませんので注意しましょう。
双指向性マイクの特徴
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双指向性マイクは、前と後ろからの二つの方向から音を捉えるマイクです。双方向性マイクは、指向性の形から「フィギュア8」と呼ばれることもあります。昔から対談用に重宝されてきたマイクです。
その他にも、横からの音に対して感度が低く、正面からの音を非常にせまい角度で拾うという特性を生かし、ボイスチャットなどに利用されるヘッドユニットに使われることがよく見られます。
また、小型の双指向性マイクになると近い音をよく拾って遠くの音は拾いづらくなるので、パソコンやカーナビなどの音声認識で活躍の場が増えています。