反射式天体望遠鏡の特徴とおすすめ製品
天体観測の時に使われる天体望遠鏡は、「鏡筒」と「架台」と「三脚」の3つから構成されていて、鏡筒の種類によって、大きく「屈折式天体望遠鏡」と「反射式天体望遠鏡」の2種類に分けることができます。
今回は、「反射式天体望遠鏡とはどんな望遠鏡なのか」、「どんなしくみで遠くの天体を観測することができるのか」について詳しく解説し、オススメの商品を3つご紹介したいと思います。
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反射式天体望遠鏡とは?
反射式天体望遠鏡は、対物レンズに反射鏡(凹面鏡)を使用している望遠鏡です。覗き口が望遠鏡の横にあるので見ている方向と望遠鏡の向きが一致しないため、慣れない方には少し難しい望遠鏡です。
反射式天体望遠鏡は、星からの光を望遠鏡の筒外へ導き出す方法の違いによって、ニュートン式反射望遠鏡・カセグレン式などの種類に分けられます。
ちなみに、日本の国立天文台ハワイ観測所の「すばる望遠鏡」は、1枚の大きな鏡を使った反射式望遠鏡で、その口径は8.2mあります。
反射式天体望遠鏡と屈折式天体望遠鏡の違い
そもそも天体望遠鏡とは、対物レンズ(屈折式)や対物鏡(反射式)によって天体の光を集め、接眼レンズによって天体像を拡大してみることができる天体観測用の望遠鏡です。
接眼レンズを交換することによって倍率を変えることができ、「鏡筒」と「架台」、「三脚」の組み合わせで構成されていて、鏡筒の形式によって大きく「屈折式天体望遠鏡」と「反射式天体望遠鏡」の2種類に分けられます。
反射式天体望遠鏡とは別に、天体望遠鏡といわれると想像される方が多いのが屈折式天体望遠鏡になります。前面にはめた対物レンズ(凸レンズ)で光を集め、鏡筒の後ろから覗いて使用する望遠鏡です。
光軸調整が不要なので、取り扱いがしやすく初心者の方にオススメの望遠鏡です。
対物レンズにアクロマートレンズを使用しているのが一般的な望遠鏡です。気軽な天体観測を楽しみたい方は十分楽しむことができますが、こだわりたい方や天体写真を撮りたいという方にオススメの屈折式天体望遠鏡は、アポクロマートレンズやEDレンズなどの対物レンズを使った屈折式天体望遠鏡になります。
反射式天体望遠鏡の仕組みと原理
反射式望遠鏡は、鏡筒の前方から入った星の光を、鏡筒の後方にある凹レンズ(主鏡)に集めることで、鏡筒の前方近くに設置された斜鏡(もしくは副鏡)に反射させて像を作り、その像を接眼レンズで拡大して観察する仕組みです。
反射式天体望遠鏡のメリット
反射式天体望遠鏡のメリットとしては、
- 比較的簡単に性能の良い天体望遠鏡が作れる。
- 製造コストに優れ、安く作ることができる。
- 大きな天体望遠鏡を作ることが簡単。
- 像の色収差(にじみ・歪み)が発生しない。
- 広い範囲の星雲などの観測に向く。
などが挙げられます。
反射式天体望遠鏡のデメリット
反射式天体望遠鏡のデメリットとしては
- 筒内気流の発生により、使用前の準備が必要。
- 光軸がズレやすく、調整やメンテナンスが必要。
- 像の外側にコマ収差(扇状の歪み)が生じやすい。
- 鏡筒の強度が弱くなりやすい。
などが挙げられます。
反射式天体望遠鏡の種類
反射式天体望遠鏡は、振動などで光軸がずれやすいため、光軸がずれるたびにメンテナンスが必要となるため、観測に慣れてきている方に向いています。また、色収差が生じないというメリットがあるので、すっきりとした像を見たい方に好まれています。
反射式天体望遠鏡の中でも特に有名なのが「ニュートン式」と呼ばれる構造と、「カセグレン式」と呼ばれる構造です。
この2つについては後ほど詳しく特徴を解説しますが、この2つ以外にもグレゴリー式、ハーシェル式、シュミット・カセグレン式、マクストフ・カセグレン式、ドールカーカム式、リッチー・クレチアン式などがあります。
それぞれ種類ごとの特徴を一覧にまとめましたのでご覧ください。
構造の種類 | 特徴 | ||
反射式 | ニュートン式 | 主鏡(凹レンズ)1枚、斜鏡1枚、接眼レンズは凸レンズ。接眼レンズは鏡筒の側面。 | |
カセグレン式 | 主鏡(凹レンズ)、副鏡(双曲面凸鏡)。接眼レンズは鏡筒の後方(屈折式と同じ位置)。反射式と屈折式を組み合わせた作りになっており、鏡筒の長さが約1/3となるためコンパクト、ただし副鏡の製造が難しく、高価。公共の天文台で使用されることが多い。 | ||
ドール・カーカム式 | 主鏡(楕円面鏡)、副鏡(球面鏡)。中心像がシャープ、コマ収差(視野の端に行くほど歪む)が非常に大きいため、狭い範囲での使用に向く。 | ||
シュミットカセグレン式 | 主鏡(球面鏡)、副鏡(球面鏡)、シュミレット補正版。鏡筒が短く、軽いうえ比較的安価、しかし筒内気流が発生しやすく光軸がズレやすい。 | ||
マクストフカセグレン式 | 主鏡(球面鏡)、メニスカスレンズ(凹レンズ様)。小型の天体望遠鏡に使われる光学系。 | ||
リッチークレチアン式 | 主鏡(凹面)、副鏡(凸面)。カセグレン式に似ているが、収差が異なる。球面収差、コマ収差はなく、像面湾曲(像が平面にならず湾曲する)、非点収差(1点を光源とする光の作る像が同心円方向と直径方向で焦点距離がずれる)が強い。 | ||
イプシロン式 | 主鏡(凹双曲面鏡)、副鏡、接眼レンズ(補正レンズつき)。タカハシ(高橋製作所)により開発された光学系、主に写真用の鏡筒に使用。 | ||
シーフシュピグラー式 | 主鏡(凹レンズ)、副鏡。主鏡を斜めに設置することで入ってくる光が副鏡にぶつからない仕様になっている。反射系だが収差が出やすい。 |
ニュートン式反射望遠鏡の特徴
ニュートン式反射望遠鏡は、主鏡と呼ばれる凹面鏡(放物面鏡)で光を集め、 それを鏡筒の開口部近くにある斜鏡(平面鏡)で反射させて、筒外へ光を導き、 その光を接眼レンズで拡大して、観察するという仕組みになっています。シンプルな作りなので、比較的安く作ることができます。
カセグレン式反射望遠鏡の特徴
カセグレン式反射望遠鏡は、凹面鏡(放物面)で集めた光を凸面鏡(双極面)で引き伸ばして、凹面鏡の後ろ側で観察する仕組みになっています。鏡筒の長さのわりに焦点距離が長いのが特徴で、クラシカルカセグレンとも呼ばれています。
おすすめの反射式天体望遠鏡
反射式天体望遠鏡の中で、オススメの商品を3つご紹介します。
ビクセン(Vixen) / 赤道儀 AP-R130Sf・SM 39979-6
現在の価格はコチラ |
有効径が130㎜で、12.3等星まで観ることができる反射式赤道儀式天体望遠鏡です。色収差が無く、130㎜の口径での集光力で、淡い星雲や星団の観測もできます。
ビクセン(Vixen) / ポルタIIR130Sf 39954-3
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130㎜の口径の対物レンズを使用した反射式天体望遠鏡です。11.3等星まで観測できます。
フリーストップ式を採用しているので手を放した位置で鏡筒が固定されますし、上下方位全周対応の微動ハンドルも装備されていて、操作性に優れています。月や惑星・星団の観測を楽しみたい方にオススメです。同じクラスの口径であれば、反射式は屈折式より価格が安くで購入できますが、口径が130㎜のクラスで4万円台で購入でき、コストパフォーマンスに優れています。
ミザール(MIZAR) / LTH-150SS
現在の価格はコチラ |
口径が150㎜、焦点距離が750㎜の反射式赤道儀式天体望遠鏡です。赤道儀式マウントと大口径反射望遠鏡の組み合わせとなっているので、長時間の天体観測にオススメです。有効径が150㎜で豊富な光量を集めることができるため、月や惑星などのある程度大きな天体の観測だけでなく、星雲・星団の美しい姿を観測したい方にもオススメです。