星を見るための準備と天体望遠鏡と使い方
天体望遠鏡を手に入れたら早速夜空を見に行きましょう。ですがその前に、いくつかやることがあります。
天体望遠鏡の組立てや設定(調節)、天体観測をするうえで用意すべきアイテムを揃えること、これらの観測に向けた準備をすることでよりスムーズに天体観測を行うことができます。それでは順を追って見ていきましょう。
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天体望遠鏡を使った天体観測の準備
ここでは準備すると良いアイテムや準備、計画について細かくあげますが、もちろん全てをきっちりする必要はありません。面倒なことが多いとせっかくの楽しさも半減してしましますので、あくまで見たいタイミングで気軽に天体観測を楽しみ、準備をすれば観測に役立つこともあるという参考としてご覧ください。
天体観測を円滑に進めるための準備としては、観測に必要、もしくはあると便利なアイテムを揃えること、観測する星を決めること、観測日や時間、場所の選定があげられます。
天体観測に必要な道具
天体観測をするために準備しておくと良いアイテムのまとめです。
アイテム | 詳細 |
時計 | 時間は観測をする上で大切です。腕時計など時間がわかるものを持っていきましょう |
方位磁石 | 星を見る上で方角を把握することは必須です |
星の位置を確認できるもの 星座早見盤 星図 シミュレーションソフト |
見たい星がどこにあるのかを見つけるために必要なアイテムです。星座早見盤は日付と時間を合わせるだけで星の位置を確認できるため手軽で便利です。より詳細な星や星雲について探す場合は星図を使いましょう。シミュレーションソフトはPC画面で全ての情報を見ることができ便利です。 |
懐中電灯 ランタン |
暗い中での作業となるため明かりは必要です。 準備する際は明るすぎないものにしましょう。両手を使えるヘッドライトタイプも便利です。また、レンズに赤いフィルムを貼ると目への負担が軽減するとされています。 |
防寒着 | 冬は当然ですが、夜間に長時間外にいると冬でなくとも冷えてきます。防寒対策はしっかりしましょう。 |
レジャーシート 椅子 寝袋 枕 |
長時間にわたる観測は疲れるため、シートや椅子などを用意すると良いでしょう。特に肉眼で星空を見上げる際は横になってしまうのが最も楽ですので、寝袋や枕もあると便利なアイテムです。 |
時計や方位磁石はスマートフォンで事足りますが、画面が明るいとせっかく暗闇になれた目が元に戻ってしまいます。画面設定は暗くするか、専用のものを準備しましょう。
上記のほかにあると便利なものとしては夏でしたら虫よけグッズ、寒い時期はテントやストーブ等があるとより良いでしょう。
天体観測の計画
必要な道具が揃ったら、観察する星、観測日、時間、場所について考えましょう。月を見る場合はそこまで考える必要はありません。ですが、星によっては観測できる時期や時間が限られています。
また、星がどの辺に見えるかで観測する場所が適正か(障害物はないか)確認しておくと良いでしょう。
観察する星を決める
どんな星を見たいかを決めましょう。星によっては探しにくいものもあり、そういった場合は近くの明るい星など、目印となる星を確認しておきましょう。そうすることで実際に見に行った際、スムーズに観測を開始することができるでしょう。
観測日を決める
観測日を決めましょう。天体観測はできる限り新月に近いタイミングや月の出ていない時間帯を選んで計画を立てると良いでしょう。月や明るい星の場合はそこまで神経質になる必要はありません。
観測場所に合わせた準備
天体観察をするのに向く条件としては、周囲が暗く、視野が広い場所とされます。これは周囲の光が障害となってしまうという理由と星によっては地平線ギリギリでしか見えないものがあるためです。そのためできる限り暗く、障害物が少ない、視野が広い場所を選ぶと良いでしょう。
ただし、当たり前ですが条件が合うといっても、立ち入り禁止の場所や危険な場所(崖の近くなど)は避けましょう。
自宅で観測する場合は庭やベランダなど外のできる限り広い場所で行うことをお勧めします。自宅での観測であれば快適な家の中でできれば良いのですが、いくら部屋を暗くしてもうまく見えない原因につながります。
例えばガラス越しの場合、光の反射に影響してしまいますし、窓を開けても室内外の温度差が影響してしまいます。
天体望遠鏡の組立て
天体望遠鏡を組み立てましょう。組立ての基本は下から上です。天体望遠鏡を購入すると様々なパーツに分かれており、自身で組み立てる必要があります。マニュアルに従って組み立てれば問題ありませんがその順番とポイントもあわせて見ていきましょう。
ここでは初心者向けとして販売されることの多い屈折式天体望遠鏡、経緯台を使用する場合を想定しています。
天体望遠鏡の組立て方
工程はそれほど多くありません。順番に組立てていきましょう。
- セット内容の確認
- 三脚:パーツが分かれていれば組立て、足を全て同じ長さに揃えて固定し立たせます
- 架台:経緯台には2つの微動ハンドルがあり、上下用と左右用をそれぞれ正しい位置に装着します
- 鏡筒:鏡筒を架台のホルダー部分に固定します
- ファインダー:鏡筒へしっかりと固定します
組み立てのポイント
- 三脚をセットする際は1本を支柱にして残り2本を持ち、3本の足の真ん中の部分(開き止めもしくはステイ)が完全に張るまでゆっくり開きましょう
- アクセサリートレイがある場合は開き止めの上に固定します
- 鏡筒が重い望遠鏡にはバランスを保つためのおもりがあります。おもりがある場合は鏡筒の前に架台へ取り付けましょう。
- 鏡筒を架台へ装着する際に落とさぬよう取り扱いに十分注意しましょう
- ファインダーは鏡筒と並行になるようにしっかり固定し、ズレやぐらつきがないようにしましょう
一度組み立ててしまえば次からの作業は大分少なくなります。片づける際は鏡筒を取り付けたまま、鏡筒の向きを縦にしてホコリ防止のカバーをかけておけば問題ありません。その際、鏡筒、ファインダーを乾かし、ブロアーでホコリを飛ばした後、キャップをしっかりつけましょう。
丁寧にしまうと組立てが面倒になって使う回数が減ってしまったり、鏡筒を外して片づけるとなると置き場の確保が必要となります。
また、使用後しっかり乾燥させずに片づけるとカビの原因にもなります。そのままの方がすぐに使用でき、意外にスペースを取らず、風通しも良くなります。ずぼらなようですが、合理的な保管方法と言えるでしょう。
天体観測の手順と天体望遠鏡の使い方
天体望遠鏡を使用した天体観測の基本手順を見ていきましょう。初心者の方はまず肉眼でも確認しやすい月の観測から始めると良いでしょう。
ここでは初心者向けとして販売されることの多い屈折式天体望遠鏡、経緯台を使用する場合を想定しています。
天体望遠鏡の使い方
- 三脚の設置
- 鏡筒やファインダーのキャップを外す
- ファインダーの調節※を行う(この作業は明るいうちに済ませておきましょう)
- ファインダーを覗いて目的の星を探し、視野の中心(十字線の交点)に合わせる
- 接眼レンズ(低倍率)を覗き、架台を微調整して星を視野の中央に合わせる
- ピントを合わせる
- 再度星の位置を調節し、高倍率の接眼レンズに付け替える。
- ピントを合わせる
- 星の位置を調節して観察する
※ファインダーの調節は実際に天体観測をする場合の逆の手順で行います。まず低倍率の接眼レンズを装着し、1km位先にある目標を決めます。それが中心になるように架台を操作します。その後高倍率の接眼レンズを同じように視野の中心に動かします。
続いてファインダーの調節です。ファインダーには調節ネジが付いており、それを締めたり緩めたりすることで天体望遠鏡で捉えた目標がファインダーの中心にくるようにします。これでファインダーの調節は終了です。
天体観測時のポイント
- 天体望遠鏡はぐらつかないような場所におきましょう
- キャップを外す工程は意外にも「星が見えないという原因」の1つに上げられることが多いので、念のため確認しておきましょう
- ファインダーの調節は明るいうちに済ませておくと天体観測がスムーズになります。夜でもできなくはないですが、星を使って行わなければならないため難易度が上がります。
- 天体望遠鏡によってはファインダー(低倍率の望遠鏡)ではなく、のぞき窓(鏡筒についた輪っかのフレーム)がついているもあります。その場合特に調節は必要ありません
- 星をファインダーや望遠鏡の視野の中心に合わせる際は架台の微動ハンドル(上下、左右)を使用して合わせましょう
- ピントを合わせる際は接眼部のハンドルを動かすことで、ドロチューブ(接眼部分)を前後させ、調節します
- 接眼レンズを付け替えることで倍率を上げることができますが、天体望遠鏡には口径に合った限界倍率があります。倍率を上げても限界倍率以上になれば見えにくくなってしまうだけなので、手持ちの天体望遠鏡と見たい星に合った倍率で観察しましょう。天体望遠鏡の限界倍率は口径(mm)の2倍の数字が目安になり、口径80mmの天体望遠鏡の場合は160倍が限界倍率となります。
以上が基本的な観察手順とポイントとなります。使用する天体望遠鏡や架台によって操作に違いが出てきますのでマニュアル等を確認の上、天体観測を行ってください。