価格の違いは?天体望遠鏡の値段の選び方
「月や惑星を観測したい!」と天体観測に興味を持った方に必要になるものが天体望遠鏡ですが、天体望遠鏡には様々な種類があり、値段も幅広くなっています。
どれくらいのものが必要なのか分らないし、とりあえず安いので良いかな?と思って購入すると、観測したい天体を観ることができない、という事もあります。今回は、天体望遠鏡のお値段や性能について、ご紹介していきたいと思います。
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天体望遠鏡の種類と価格の性能差
天体望遠鏡は数千円の安価なものから、何百万円という高価なものまで、幅広い商品が販売されていて、どれを購入すればいいのか迷うものです。
予算が無いからといって安すぎるものを購入すると、観たい天体を観ることができなかった、という事もありますし、高価なものを購入しても使いこなすことができずに天体観測をしなくなってしまう事もあります。
なぜここまで天体望遠鏡は価格に違いが出るのかというと、そもそも天体望遠鏡という道具は、鏡筒と架台・三脚を組み立てることで作られており、それぞれのパーツに性能の良し悪しが出るため、それが価格に反映されて違いが出てくるのです。
鏡筒には「屈折式天体望遠鏡」と「反射式天体望遠鏡」「カタディオプトリック式天体望遠鏡」があり、架台には「赤道儀式」と「経緯台式」があります。
天体望遠鏡は、この鏡筒・架台の形式をそれぞれ選ぶことが必要です。天体望遠鏡のパーツごとに、種類と特徴、そして価格帯を詳しくご紹介します。
鏡筒の形式
鏡筒の形式には、「屈折式天体望遠鏡」と「反射式天体望遠鏡」「カタディオプトリック式天体望遠鏡」があります。
屈折式天体望遠鏡の特徴
屈折式天体望遠鏡は、前面に対物レンズを、鏡筒の後ろに接眼レンズが入りされているもので、天体望遠鏡といわれると思い浮かべる方が多いタイプになります。接眼レンズで光を集めるタイプの天体望遠鏡で、光軸を調整する必要が無くメンテナンスをする必要が少ないため、初心者にオススメのタイプです。
反射式天体望遠鏡の特徴
反射式天体望遠鏡は、メインとなる凹面鏡と副鏡といわれる平面鏡を使っている天体望遠鏡で、鏡筒の横から覗くタイプです。光軸を調整する必要があるため、慣れていない人には少し取り扱いが難しいものになりますが、口径が大きいものが屈折式に比べて安いのが特徴です。
カタディオプトリック式天体望遠鏡
カタディオプトリック式天体望遠鏡は、屈折式天体望遠鏡と反射式天体望遠鏡のいい点を取り入れた天体望遠鏡になります。カタディオプトリック式天体望遠鏡は、反射式天体望遠鏡のように凹面鏡の主鏡と凸面鏡の副鏡を使っています。
主鏡の真ん中に丸い穴が開いていて、屈折式天体望遠鏡のように鏡筒の後ろから覗いて使用します。補正版や補正レンズを鏡筒の前面に配置することで像の歪みを抑えています。
架台の形式
架台の形式は、「赤道儀式」と「経緯台式」があります。
赤道儀式架台の特徴
赤道儀式は、地球の自転軸に対して水平垂直に動きます。星の動きに合わせて動かすことになるので、長時間の観測をしたい方や天体写真を撮影したい方にオススメです。
経緯台式架台の特徴
経緯台式は、地面に対して上下左右に動き、構造が簡単で安価なため初心者に向いています。ただし、長時間にわたって観測をしたいという場合には不向きです。
天体望遠鏡は口径と価格帯で選ぶ
天体望遠鏡を購入する時、「最高倍率〇〇倍!」と高倍率であることを謳っている商品があります。
何もわからない状態で購入しようとしていると、倍率が高ければ高いほど遠くにある天体までしっかり見ることができるんじゃないか?と思って、高倍率の天体望遠鏡を購入しがちなのですが、鏡筒の口径によって適正倍率というものが決まっています。
「適正倍率が決まっている」という事は、「適正倍率より大きい倍率になると、結局役に立たない」という事になります。天体望遠鏡を購入するときに大切なのは、「倍率」ではなく「口径」になるという事を覚えていてください。
また、たくさんの種類が販売されている天体望遠鏡ですが、「一つ準備したら月や惑星などの比較的大きい天体から星雲や星団などまでなんでも観ることができる」というわけではありません。そのため、見たい天体が何なのかによって、天体望遠鏡を選ぶ必要があります。
月や惑星を観たいときの口径と価格帯
月や惑星などのある程度大きい天体を観測したい場合、口径が6㎝以上、接眼レンズを使った倍率が100倍以上あれば楽しむことができます。安定して追尾することができるように、微動装置がついている架台を選ぶことがオススメです。
価格帯としては、2万円以上のものを選ぶようにしてください。
星雲や星団を観たいときの口径と価格帯
星団や星雲は暗くて淡い天体が多くなります。そのため、より光を多く集めることができる口径が大きいものがオススメです。8等級位の天体を確認するだけでよければ6㎝くらいの天体望遠鏡でも観ることができますが、屈折式なら8㎝以上、反射式やカタディオプトリック式天体望遠鏡なら口径が10㎝以上あるものがオススメです。
価格は3万円から5万円程度のものが目安となりますが、価格から選ぶには、屈折式より反射式やカタディオプトリック式天体望遠鏡の方が同じ価格でも大きな口径の天体望遠鏡を購入することができます。
価格帯から選ぶ天体望遠鏡
本来であれば、天体望遠鏡の種類や、それぞれのパーツに詳しくなり、目的に合わせてベストな天体望遠鏡を選ぶのが良い選択と言えるのですが、天体望遠鏡はマニアックな道具でもありますし、安物買いの銭失いになりやすい道具でもあります。
そこで、天体望遠鏡にあまり詳しくなくとも、予算に見合った天体望遠鏡が選べるよう、この価格帯の望遠鏡を買うのであれば、このような機能やパーツのついた天体望遠鏡を選ぶと失敗しにくいですよ!という選び方とアドバイスを紹介していきます。
予算2万円以下の天体望遠鏡
2万円以下で購入できる天体望遠鏡は、口径が6㎝程度の屈折式・経緯台式のものがほとんどで、価格が安い分、三脚や架台がひ弱なものや、微動装置が無い場合もあります。
月のクレーターや土星の環、金星の満ち欠けを観たい、という方にとっては満足できる望遠鏡もありますので、この価格帯の望遠鏡を購入する際には、焦点距離が500㎜以上、対物レンズがアクロマートレンズの望遠鏡を選ぶようにしてください。
予算2万円〜3万円の天体望遠鏡
初心者用の入門機としてオススメなのがこの価格帯の望遠鏡になります。
6㎝から7㎝の口径が多く、屈折式・経緯台式の望遠鏡がほとんどになります。また、この価格帯での赤道儀式はひ弱な赤道儀式架台が多くなるので、オススメしません。
予算3万円〜6万円の天体望遠鏡
入門機種としてはしっかりとした機種を選ぶことができます。屈折式なら8㎝、反射式やカタディオプトリック式天体望遠鏡なら10㎝~13㎝の鏡筒を購入することができます。
赤道儀式はまだ安定感には掛けるので、経緯台式の架台を選ぶことがオススメです。
予算6万円〜10万円の天体望遠鏡
口径が屈折式なら8㎝程度、反射式やカタディオプトリック式天体望遠鏡では10㎝~13㎝程度の天体望遠鏡が対象になります。
赤道儀式の架台を購入することができますが、赤道儀式は重量があるため、しっかりとした三脚を選ぶことが大切となります。
予算10万円〜15万円の天体望遠鏡
本格的に天体観測をしたいときには、この価格帯が最低ラインとなっています。
口径は屈折式で10㎝程度、反射式やカタディオプトリック式天体望遠鏡で15㎝程度の天体望遠鏡を選ぶことができます。赤道儀式の架台が多くなり、天体の導入を自動で行える自動導入装置を購入することができますが、その際には予算的に口径を少し小さくする必要があります。
予算15万円以上の天体望遠鏡
本格的な天体望遠鏡を購入することができますが、価格は上限が無いため、目的にあった機種選びをすることが大切です。機能的には、この価格帯まで予算が準備できれば、ストレスなく自分に合った天体望遠鏡を見つけることができるでしょう。