徹底比較!硬式テニスと軟式テニスの違いについて
テニスには、ソフトテニスと硬式テニスがあり、この2つは使用するボールやテニスラケット、あるいはルールにおいて違いがあります。またソフトテニスは中学校の部活などで取り入れられているのに対し、硬式テニスは就学前の子供からシニアまで幅広い世代に楽しまれています。
これは硬式テニスがその誕生から多くの人にプレーされていたのに対して、ソフトテニスは日本で生まれ硬式テニスの指導の一貫としての側面もあるためです。このように硬式テニスとソフトテニスでは似て非なる部分があるのです。そこでこちらでは硬式テニスと軟式テニスの違いについて徹底比較していきます。
スポンサーリンク
テニスボールの違い
決定的な違いは使用しているテニスボールに違いがあります。硬式テニスでは弾力がある硬いボールを使用しているのに対し、軟式テニスではゴムで作られた軽く柔らかいボールを使っています。
違いを把握するためにも、それぞれのボールについてもう少し詳しく見ていきましょう。
軟式テニスボールの場合
現在の価格はコチラ |
軟式テニスではゴム製で中に空気が入ったボールが使われます。重さは30~31gで硬式テニスボールよる軽く、大きさは6.6cmで硬式テニスボールとの差は僅かです。
空気を入れられる専用の「ヘソ」があり、内圧を調整できるのですが、その弾力と軽さによって軽く当てるだけでも良く飛ぶボールとなっており、また体に当たってもそれほど痛くありません。
ただしそれはあくまで低速のボールであり、非常に速いボールとして飛んでこれば当然痛いです。それでも硬式テニスボールよりはダメージは少ないでしょう。耐久性としては使用している商品や保存方法などにもよりますが、基本は硬式テニスボールよりも長持ちします。
硬式テニスボールの場合
現在の価格はコチラ |
硬式テニスボールは中空ゴムにフェルトカバーを施したものが使われています。あまり知られていないかもしれませんが、ゴム内部には1.8気圧の窒素ガスが充填されており、これが少しずつ抜けていくので、徐々に反発性が落ちていきます。
ただでさえ重さが56~59.4gと重めであるため、飛ばすためには軟式テニスよりパワーが必要になるのに、耐久性が落ちてこればさらに飛ばなくなります。窒素ガスを充填しないものもありますが、こちらは寿命が長いことから練習球としては使われるものの、試合では軟式テニスボールよりも寿命が短い窒素ガス充填式のものが使われます。
大きさは6.54~6.86cmとわずかに違いがあり、軟式テニスボールはちょうどこの間に入る大きさなので、ほぼ同じ大きさと考えていいでしょう。
フレームの重さの違い
フレームの重さにも違いがあります。プレースタイルによって適した重さは違うため、どちらも商品によって重さが違うのは共通なのですが、標準的な重さがそれぞれ違い、比較しても軟式テニスラケットの方が軽いです。
これはボールに関係しており、ボールが重ければそれだけ重いテニスラケットでないと打ち負けることがあるため、硬式テニスラケットは全体的に軟式テニスラケットより重いのです。
質量と速さから得られる運動量が分かっていると納得いくと思いますが、軽自動車と4tトラックが正面衝突した場合のことをイメージすれば、考えやすいのではないでしょうか?例えは悪いですが、相手が重ければ重いほどエネルギーは大きくなるので、パワーが無くても飛ばしやすくなります。
軟式の場合
軟式テニスラケットの場合は標準的な重さが220~250gとなっています。重さの幅は200~280gで、その中でも235g前後の軟式テニスラケットがよく買われているようです。
硬式の場合
硬式テニスラケットの標準的な重さは300g前後で、商品によって250~340g程度の重さの幅があります。
テニスラケット面の大きさの違い
テニスラケット面をフェースと言いますが、このフェースの広さも硬式テニスと軟式テニスでは違います。フェース面はいわゆるトランポリンと同じで、フェースに張られているガットの張力でボールを押し出します。
トランポリンは中心に行けば行くほど高く飛びやすくなるのは、中心が最も沈み、その反発する力を利用して上への飛距離を伸ばすことができます。テニスラケットのフェースはトランポリンとは形状が違いますが、同様に最も反発力を活かしやすいスウィートエリアというものが存在します。
これはフェース面が大きければ大きいほど、そのエリアも広くなるのです。そのためフェース面の大小で次のような特徴が現れます。
フェース面の大きさ | メリット | デメリット |
フェース面が大きい | スウィートエリアが広くなりボールを拾いやすく、楽に飛ばせる | 打球のパワーがわずかに落ちる スウィートエリアから外れるとブレが大きくなる |
フェース面が小さい | ブレが少なくコントロール性が高くなる 空気抵抗も少ないので振りやすい |
飛ばすには筋力が必要になる ボールに追いつけず拾えないこともある |
軟式の場合
軟式テニスの場合、元々ボールは軽めであるためパワーが少なくてもボールは飛びます。それもあり、硬式テニスよりフェース面は小さめとなっています。とは言ってもあまりにも差があるわけではなく、商品によるフェース面の範囲は80~100平方インチで、硬式テニスラケットとの差は5~20平方インチ程度となっています。ちなみに平均で90平方インチほどになります。
硬式の場合
硬式テニスの場合はフェース面の範囲が85~120平方インチまであります。軟式テニスよりやや大きめですし、商品の幅も広いのが分かります。これはボールがやや重いことも原因ですが、平均的なものだと100平方インチ程度と、やはり広いのが特徴です。
テニスラケットの表裏の違い
テニスラケットの表裏については、厳密には表裏ではなく、表に当たる部分は「スムース」、裏に当たる部分は「ラフ」とされています。これはテニスラケットに明確な表記があるわけではなく、大抵はロゴを見て判断します。
グリップの下部に当たるグリップエンドを見ると、例えば硬式も軟式もテニスラケットを扱うヨネックスならYYと表記されており、このYの上に当たる面がフェース、下に当たる面がラフとなります。
どちらのテニスラケットにも当然この面は両方とも存在するのですが、プレーにおける使い方に違いがあります。
軟式の場合
軟式では打つ面は片方のみになります。基本的にテニスラケットを持った手の側でボールを打つ方法をフォアハンドと言いますが、この打ち方で同じ面を使って打ち返すことになるのです。
このフォアの打ち方そのものは硬式テニスと変わらないのですが、バックハンドは違いがあります。軟式テニスではバックハンドでも手に平側、あるいは指側を相手に向けて打ち返すのが基本になります。
ただ硬式テニスと同じバックハンドの打ち方をして、軟式テニスでのルールに引っかかることはないので、絶対この打ち方でないといけないわけではありません。
硬式の場合
硬式テニスでは両面を用いてプレーします。これにより同じ面を使用しなければいけない軟式テニスと違って硬式テニスではバックハンドを打つ時に手に甲を相手側に向けて打つという違いがあります。
シャフトの本数の違い
シャフトとは先述したフレームとグリップを結ぶパーツを言います。硬式テニス用と軟式テニス用では実はこの本数に違いがあるのです。具体的な本数と共に違いを見ていきましょう。
軟式の場合
軟式テニスラケットのシャフトは本数に違いがあり、フレームからグリップまでをストレートに1本で繋ぐものと、フレームからグリップの間に逆三角形を作る形で、2本で繋ぐものがあります。
シャフトが1本のものはスウィートスポットにボールを当てた際、ダイレクトに力を伝達でき、心地よい打球感を得られます。そのため力強いボールを打ち込める後衛向きモデルとなっています。
それに対してシャフトが2本のものは面安定性がよくなるので、振り抜きやすさと操作性の向上が見られます。そのためボールにすぐ対応しなければいけない前衛向きのオールラウンドモデルのものによく使われます。
硬式の場合
硬式の場合はシャフトが2本のものしかありません。これはシャフトが1本だとボールの重さと受け止めた時のパワーによって面安定性が損なわれるためです。
2本のシャフトにすることで、軟式テニスラケットと同じように面安定性の向上と振り抜きやすさ、それによるコントロール性を高めています。
グリップの違い
グリップにもわずかに違いがあります。基本はどちらも八角形なのですが、その形状に違いが見られます。
軟式の場合
軟式テニスラケットの場合はグリップの形状が正八角形となっています。またこれは余談ですが、グリップ近くに公認マークである「STAマーク」がついているのも特徴です。
硬式の場合
硬式テニスラケットはメーカーロゴに合わせてスムースを上にした時、八角形の上部と下部の長さが他の辺よりも長い八角形になっています。
テニス用ガットのテンションの違い
ガットのテンションでも違いが見られます。これは先述したボールの重さと、そして打ち返すときに必要なパワーに違いがあるためです。
基本的にガットは軟式の方が柔らかく、公式の方が硬めに張られるため、伸縮性と耐久性に大きな違いが発生します。ちなみにガットのテンションは数値として小さいほど柔らかく、大きいほど硬くなります。
軟式の場合
軟式テニスラケットではガットの強度が18~35の範囲で張られます。後述する硬式テニスと比べても明らかに柔らかいことが分かります。
硬式の場合
硬式テニスラケットではガットの強度が40~70の範囲で張られます。軟式テニスラケットと比べるとかなり強く張られることが分かります。
振動止めの違い
振動止め自体は硬式でも軟式でも使用することができます。ただし、それはあくまで練習でのことであり、大会規定では違います。
またどちらもボールを受け止めた際に振動があるので必要性を感じる方はいらっしゃいますが、ボールの重さや強さなどから硬式テニスで使われることが多いです。
軟式の場合
先述通り練習では使えますが、軟式テニスでは公式戦において振動止めを使用することは出来ません。これはルール上「打球面に異物を取り付ける等で、ボールに特殊な影響が与えられる場合は、そのラケットの使用を認めない」とあり、これに抵触するためです。
硬式の場合
硬式テニスの場合、練習はもちろんのこと、試合でも付けたまま使用することができます。ただしルール上は装着する位置を決められているので、どこにでも付けていいわけではないことを頭に入れておいてください。